「一門」が分かれば相撲が益々面白くなる

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 新横綱・稀勢の里と、迎え撃つ白鵬、鶴竜、日馬富士らモンゴル勢3横綱の激突に注目が集まる大相撲大阪場所(3月12日)。前売り券が即日完売となるほどの人気ぶりだが、上位力士だけでなく下位力士、因縁の対決など見所が多い。個人競技のため、どうしても力士同士のライバル関係が目立つが、角界には一門という部屋同士の派閥が存在する。冠婚葬祭はもとより、連合稽古や出稽古も一門単位で行なわれる。ここに注目するのも大阪場所観戦をより楽しくする。

 2年に一度の理事選も、実態としては出羽海、二所ノ関、伊勢ケ濱、時津風、高砂の5つの一門が、それぞれの代表となる候補を調整し、相撲協会の運営を長く取り仕切ってきた。

 ところが、2010年1月の理事改選で、貴乃花親方が二所ノ関一門を離脱して立候補。若手親方の支持を集めて当選したことで激震が走った。いわゆる「貴の乱」だ。

「貴乃花親方に一門を越えた支持が集まるのは、現役時代に見せたガチンコの姿勢と、協会の体質を改革しようとする意欲があったから。貴乃花グループとはガチンコ部屋を指すことになります。貴乃花一門に所属する千賀ノ浦、立浪、大嶽、阿武松の各部屋だけでなく、最近は湊部屋や佐渡ケ嶽、伊勢ノ海、時津風、九重部屋なども隠れ貴乃花グループとみられています」(協会関係者)

 一門の支配を守ろうとする現・八角理事長(元横綱・北勝海)体制と、改革を求める貴乃花一門のせめぎ合いが、そのまま土俵に表われることもある。

「昨年の理事選では、伊勢ケ濱親方(元横綱・旭富士)が一門を裏切って貴乃花グループ支持に動いたため、同じ一門の友綱親方(元関脇・魁輝)の後継者だった高島親方(元関脇・高望山)が落選してしまった。

 そのため、友綱部屋では部屋頭のブラジル出身・魁聖を、伊勢ケ濱部屋の日馬富士、照ノ富士、宝富士に向けての“刺客”に育てようとしている。親方が朝稽古の時に“今日は絶対に負けるなよ”と気合いを入れるだけで、力士は必死に頑張るしかなくなりますからね」(後援会関係者)

 貴乃花親方グループの部屋の力士と、分裂の憂き目に遭った二所ノ関一門(二所ノ関部屋、尾車部屋、高田川部屋など)の力士の対戦にも同様のことがいえる。

 そうした構図が分かっていると、土俵上の熱戦がさらに楽しくなる。「荒れる春場所」は事前情報が多いほど楽しめるのだ。

※週刊ポスト2017年3月10日号