金正恩が母の存在を隠したかった理由

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 2月13日、マレーシアのクアラルンプール国際空港で、北朝鮮・金正恩朝鮮労働党委員長(33才)の異母兄・金正男(享年45)が殺されてから2週間以上が経過した。「遺体は金正男の影武者説」まで飛び出すなど、まるでミステリー映画のようなこの事件を、新聞やワイドショーでは、金正男と金正恩を巡る複雑な家庭環境とともに伝えている。

 金正男と金正恩は、母とどんな関係だったのか? 金正男の母は成ヘ琳。特権階級に産まれた、元映画女優だ。一方で、金正恩の母は高英姫といわれているが、公にはされていない。著書に『金正日秘録』がある龍谷大学教授の李相哲さんはこう語る。

「金正男のおばの手記を読むと、彼は18才頃までかなり母に反抗的だったようですが、大きくなるにつれて、病床の母を不憫に思い、よく見舞っていたそうです。彼女は2002年に亡くなり、お墓はモスクワに建てられましたが、金正男は何度もそこを訪れています。高英姫は、金正恩を愛しているからといって、特別甘やかすことはなく、時に厳しく叱りつけることもあったようです。

 1つエピソードがあって、金正恩はかなりわがままに育ったんですが、バスケの試合をしていたときに、何かに怒って八つ当たりじゃないですけど、ボールをどこかに投げつけたそうです。そしたら高英姫はみんなの前で金正恩を叱ったんです。父の金正日は『ほっとけ』となだめたりしたようなので、高英姫に比べれば甘やかしていたようですね」(李さん)

 昔から北朝鮮では指導者を神のように奉るために、その家系をたたえてきた。例えば金正日は、母を抗日闘争で、もっとも勇敢に戦った女性だとたたえ、彼女は国母となっている。

 しかし金正恩は、自分のために奔走してくれた大好きな母だったが、2004年に乳がんで亡くなってからも、その存在を今に至るまで公にしていない。

 北朝鮮の内情に詳しいジャーナリストの惠谷治さんはその理由を「高英姫が在日朝鮮人だったから」と指摘する。

「北朝鮮にとって敵対国である日本に住んでいたことは、絶対に隠したい過去。自分の正統性を危うくしかねない秘密なんです」

※女性セブン2017年3月16日号