この時代、やっぱり英語くらいは身につけておきたい。

でも、仕事でそれほど使うわけではないし、勉強するモチベーションが見つからない……。じゃあ、いっそのこと外国人の恋人でもつくっちゃおうか。そんなことを悶々と考えながら、結局何もしないまま時間だけが過ぎていく……というそこの貴女。

そんな貴女の胸に長年くすぶる「外国人の恋人をつくるのが語学上達の近道って、ホント?」という疑問を、海外生活14年目、これまでの恋人の9割が外国人というNY在住のライター椿慶子(つばき・けいこ)さんにぶつけてみました。

ピュアなモチベーションが発生する“現場”

「外国人の恋人をつくるのが語学上達の近道」という説は本当か?

ウートピのエディターさんから投げかけていただいたこの質問……。もうかれこれ、十数年人種のるつぼである北米で暮らしてきた筆者からすると、その答えは「イエスッ!」です。

なぜなら、事件は、いえ語学は“現場”で、上達が起きるからなんです。

その現場は、ビジネスシーンであったり、ショッピングであったり、空港であったり、友達との会話であったりと多種多様だと思います。ことさらに人間、恋愛シーンでは、心から彼(彼女)に気持ちを伝えたい、誤解は避けたいというピュアなモチベーションが発生します。このピュアな“伝えたい”モチベーションが語学上達にグングン比例して大きくなっていくと思います。

恋人のバックグラウンドへの理解が相乗効果に

かつてフランス語圏のモントリオール(カナダ)で暮らしていた頃、私にはモロッコ出身の婚約者がいました。

最初はただ単に、彼の顔が濃くてカッコいいと思って惹かれただけだったのです。しかし、関係がシリアスになってゆくにつれ、彼のことを理解したくてバックグラウンドを一生懸命勉強しました。イスラム教のことや、モロッコ料理、モロッコ音楽など、今まで見たことも聞いたこともないことばかり……。

頭が完璧にアメリカナイズドされていた私には、西洋とはまったく違ったアラブの国モロッコが、とても新鮮に映り、どんどんその魅力にのめり込んでいきました。

その当時、彼のご両親やご家族に婚約のご挨拶に行きに、ラマダン(断食)明けでお祭り騒ぎのモロッコに数ヵ月滞在もしました。現地では、彼の家族からモロッコ料理とアラビア語を教えてもらいながら、自分でも一生懸命言語を勉強したものです。地元の子どもたちがものめずらしさで懐いてくれて、数字や簡単な単語をたくさん教えてくれたのもいい思い出です。

結果としては、彼は生涯の伴侶にはなりえませんでしたが、あの数ヵ月は自分の人生の中で最もキラキラしていた時だと思います。未知の言語の習得に、苦痛や苦手意識などはまったくなく、心から楽しめたのは、あの当時の自分に純粋な気持ちがあったからだと思います。

こうやって先入観を取り払って、恋するピュアな心で相手の国のバックグラウンドを理解していくと、語学もみるみる習得していくような気がします。

ケンカするほど伝える力は磨かれる

特に他の言語に比べて非常にロジカルに文法が構成されている英語において言えることですが、外国人の恋人とケンカをするほど、伝える力はアップします。

英語で口論や、話し合いとなると、とても上手に自分を主張するテクニックが要されます。ああ言えばこう言う、聞いているフリして全然聞いていないのが英語圏の言い合いの特徴。恋愛たるもの“誤解”と“ケンカ”、“意見の相違”はつきものではないでしょうか。

きっと最初の頃は、外国人の彼に巧妙に言い負かされますが、負けず嫌いの貴女は、必死で勉強してどうにか自分の主張を彼に伝えようと頑張ると思います。みるみるうちに、語彙力や英語センテンスの構成力が上がっていくでしょう。

まるでドラクエ? ではありませんが、知的な相手と戦えば戦うほど、どんどんご自分の言い負かす力と口論経験値も磨かれていくはず。ただし、決して悪い言葉を使ったり、侮辱をしてはいけません。悪い言葉を使うのは、もう二度と会いたくなくなるくらいイヤなことをされた時だけにしておきましょう。

「ピュアなモチベーション」が成功のカギ

いかがでしょうか。「外国人の恋人をつくるのが語学上達の近道」説。“相手にわかってもらいたい&自分の気持ちを伝えたい……というピュアなモチベーション”が上達の秘訣だと思います。もちろん恋愛体質ではない人は、恋愛以外に何か自分のピュアなモチベーションをキープできるコトやモノを見つけて、それを糧(かて)に、語学習得を頑張ってみましょう。

椿 慶子