その人工透析が必要になる直前まで、自覚症状がまったくない人もいるという。むくみ、息切れなどの症状が出てきたときは、すでに腎機能が相当落ちていると考えた方がいい。
 「また、糸球体は一度壊れると元には戻りません。それが、慢性腎臓病を完治させる方法がないと言われる所以です。人工透析となれば、週3回通院して行う血液透析や、在宅で行う腹膜透析を一生続けるか、健康な腎臓を移植する腎移植しかない。人工透析で腎臓が健康になって、元通りの生活に戻れることはないのです」(同)

 もう一つ、腎臓には重要な働きがある。“薬の代謝”だ。
 「医者に処方された薬が効果を発揮するには、腎臓の働きが不可欠なのです。高血圧の患者さんは降圧剤を服用したり、塩分制限で血圧をコントロールすることがほとんど。しかし、腎機能が低下すると薬の効き目が悪くなったり、塩分の排出がうまくいかなくなったりで、血圧をコントロールしにくくなってしまう。そうなると、血圧の高い状態が続くことになり、ますます腎臓がダメージを受けるという悪循環に陥ってしまいます」(前出・健康ライター)

 したがって、腎臓がダメージを受け、さらに動脈硬化が進めば、今度は心臓の筋肉が厚くなり、心臓そのものが弱っていく。
 「心臓が弱ることで起こる心筋や冠動脈、弁膜などの疾患は、心臓以外の合併疾患があると重症化しやすいことも分かっている。また、高血糖や高コレストロールもそうですが、同じように腎機能の低下もこれに当てはまります。高血圧、腎臓疾患、心臓疾患はすべて密接につながっていて、どこかのバランスが崩れるとドミノ倒しのようにすべてが悪化してしまうのです」(前出・専門医)

 加えて、ある専門家はこうも言う。
 「糖尿病や高血圧で通院する人は、主治医が腎機能に注意するからまだいい。見逃されているのは、定期健診を受けない人や、異常があっても2次検査に行かない人です。治療可能なIgA腎症を見つけるには、尿の異常の早期発見が必要で、腎臓内科医が診ないと見逃されるケースもある。CKDは早期発見、早期治療で寛解(進行せず安定した状態)する疾患もあります。ある程度腎臓の破壊が進んだ時の復元は難しいが、治療の継続で透析を避けられる可能性もある」
 腎機能が正常の15%未満になると末期腎不全と診断され、10%以下になると透析や腎移植を行うのが基準となっている。ちなみに人工透析になると、週3回、1回4〜5時間かかるので大変だ。

 腎機能を測る推算eGFRは、インターネットで検索すれば計算式が出ている。医者に任せきりにせず、自分で腎機能を調べて知っておくことも大事だ。
 また心臓が悪い人も、まずは腎臓の管理が最優先であることを知っておこう。