[3.4 J2第2節 千葉1-1山形 フクアリ]

 たったワンプレーで会場の雰囲気を変えた。後半29分にモンテディオ山形の木山隆之監督から「ガンガン仕掛けていけ」と送り出されたMF汰木康也は、同34分にピッチの約4分の3を縦断する圧巻の長距離ドリブルを披露。最後のシュートはGKに止められたが、21歳のアタッカーが敵地で大きなインパクトを残した。

 2月26日のJ2第1節・京都戦(2-1)はベンチ外だった汰木。「なかなかキャンプでうまくアピールすることができなくて受け止めていたし、自分のあの時のアピールだったら当然だったと思うので、そこはもう切り替えていました」。8年ぶりの開幕白星に沸くチームを外から眺めつつ、意識は次の試合に向けられていた。

 迎えた今節は攻撃の切り札としてベンチメンバー入り。木山監督は1-1の後半29分、2シャドーの一角で先発したMF南秀仁を下げ、同じ位置に汰木を入れた。

「(千葉の)ラインが高めに設定されていて、後半は相手も疲れてきて、ラインとラインの間もすごくスペースが空いていたので、そこでどんどんボールを引き出して、ガンガン仕掛けていけという指示でした。外から見ていても、あそこでボールをもらえれば1人で突破できるなとは思っていました」

 そして、途中出場から5分後にビッグプレーが飛び出す。山形は千葉の攻撃を遮断し、自陣の左サイドでDF茂木力也、MF風間宏希、FW阪野豊史とテンポよくつなぐと、阪野の体を張った落としを受けたのは汰木。自陣中央でドリブルを開始した時点で4人の相手選手に追走されていたが、ハーフウェーラインを越えた時にはすでに全員を振り切り、スピードに乗ったままフリーでPA内左に進入する。しかし、右足で放ったシュートは飛び出したGKに阻まれた。

「GKが出てきたので浮かそうとしたんですけど、ファーストプレーの次くらいの自分のプレーだったので、ちょっとまだ冷静にできなくて、そこでもう1個抜くっていう余裕が持てなかったです」

 自身のプレーを振り返った汰木は「あそこで結果を出せなかったところが一番悔しいです。あまりキレイな突破ではなかったけど、決めて正解みたいなシーンだったので、そこでちょっと甘さが出ました」と勝ち越しのチャンスを逃したことを悔やんだ。

 試合後の記者会見では、木山監督も汰木のプレーについて言及。「僕は良いものを持っていると思うので、ただやっぱりもっといい選手になるためにはあそこはやっぱり決めていく、あと決定的な仕事をしていくことは求めていきたいなと思います。前半の厳しいプレッシャーの中で入ってあのプレーができたかどうかっていうのはちょっと分からないし、彼自身ももっとそういう意識を持ちながら、非常に可能性のある選手だと思うので、もっと伸びてほしいなと僕は思います。厳しく鍛えてやろうかなと思います」と期待を込め、あえて厳しい言葉を並べた。

 汰木本人も「今はもうコンディションも上がってきてキレも出てきたので、少しは理想の形として自分のプレーを見せられました」と一定の手応えを感じながらも、欲しいのはまず「結果」。チーム屈指のポテンシャルを秘めているのは誰もが認めるところだが、もう一皮むけるために必要なモノは自分が一番よく分かっている。2014年に横浜FMユースから高卒で山形に加入し、今年でプロ4年目。強い覚悟を結果で示す勝負のシーズンとなる。

(取材・文 阿部哲也)
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