大相撲の元大関・琴欧洲であり、現在は部屋付きとして佐渡ケ嶽部屋に所属する年寄・鳴戸親方が、この4月にも独立して鳴戸部屋を復興、部屋持ち親方となることが分かった。また、これと相次ぐ形で、元関脇・旭天鵬で現在の大島親方が友綱部屋を継承、同じく部屋持ちになることも報じられた。

 日本相撲協会の規定により、大相撲の親方は日本国籍を取得していなければなることができない。外国出身で部屋持ち親方(師匠)となったのは、過去に高見山、武蔵丸(いずれもハワイ出身)の2名のみであり、ヨーロッパ出身では鳴戸親方が史上初、モンゴル出身では大島親方が初となる。

 さて、大相撲の世界で最近最大の話題といえば、それはもちろん、第72代横綱・稀勢の里の誕生をおいて他にはない。久方ぶりの日本人横綱の誕生ということで、反響はとても大きい。

 そのような状況にあって、あまり日本人贔屓の発言ばかりをするのは、外国出身の力士に対して失礼ではないのか?というような声が存在するのは、事実だ。しかし、外国出身力士としては非常に著名な存在の元大関・小錦は、新聞社のインタビューに答えてこう語っている。「日本人横綱の誕生を喜ばれるのは当然のことでしょう、だって、皆さんは日本人なのですから」と。

 それはそうであろう。イチローがメジャーリーグで活躍することを、我々がこの日本にあって喜んで、何の悪いことがあろうか?そのようなことが起こり得るかどうかは別の問題として、たとえばイチローがマリナーズの監督になったり、野茂がドジャースの監督になったり、ということがあった場合に、日本人が歓喜することがあっても、それもまた当然のこととご理解をいただき得るであろう。

 ただし。

 同じ理屈で、両親方の出身国であるブルガリアとモンゴルの人々には、今回の一件について大きな喜びを示す、当然の権利があるのであり、我々日本人も、それに対して暖かく寛容な態度を取るのはこれは当然だ。

 日本人横綱誕生が祝福されるのは当然のことであるし、そして同時に、海外からやってきた力士たちが大相撲を盛り上げてくれていること、これもまた、大いに良いことである。

 鳴戸親方と大島親方が今後、自身の出身国の力士を積極的にスカウトする等のビジョンをお持ちなのかどうかは分からないが、同じ外国出身師匠の元・武蔵丸、武蔵川親方は、実は、これはまだあまり知られていない話なのだが、自身の甥をハワイから招聘している。武蔵国の四股名で、現在幕下まで上がってきている。

 もしかしたら、鳴戸部屋や友綱部屋も、今後これに類する形で文化の架け橋たる立場を担うことになるのかもしれない。何にせよ、ご両名の師匠としての今後の活躍に、大いに期待したいところである。