同じ痛みを抱える人たちと一緒に……。

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 ドキュメンタリー映画『WE ARE X』の公開を前に、X JAPANYOSHIKIが、自分の中に潜む自殺願望との葛藤の毎日を明かした。本作でYOSHIKIは、父、HIDE、TAIJIという3人の大切な人の死をカメラの前で語っている。何度も言葉に詰まり、涙をこらえながら「死」の悲しみを語る彼の姿から、スクリーン越しにひしひしとその痛みが伝わってくる。

 「明日死んでやろうという自殺願望も強かったですし、いえ、強かったというか今でもそういう苦しみと毎日戦いながら生きています」という衝撃的な言葉。YOSHIKI自身の「死への執着」は、劇中でも語られる。ギタリストHIDEの死は、彼の心にぽっかりと大きな穴を開けた。彼の死に触れることは、何年もの間YOSHIKIが避け続けてきたことであり、この映画の中で語ることは、現実に直面することと一緒だった。完成した作品を観たときを振り返り、YOSHIKIは「僕は心の整理もできないままに、とにかく生きなければという思いと、でもやっぱり死んじゃった方が楽なんじゃないかという思いの間で必死になって生きてきたことを改めて感じました」と話す。自分の人生を細い線に例え、「いつもギリギリのところを綱渡りしていたんです」と表現したYOSHIKI。1日たりとも、彼の生活に平和な安息の瞬間が訪れたことはなかった。

 だが、苦悩するYOSHIKIの作り出す曲は、同じように苦しむ人々の心に共鳴し、多くのファンを救ってきた。映画にはXの音楽に救われたと語るファンの姿が映し出される。「僕自身、何故こんなに辛いんだろう、もう生きていたくないという気持ちを詩とメロディーにぶつける」と話す通り、彼は自分の中にある衝動を音楽にぶつけてきた。「痛みから生まれた歌だからこそ、同じ痛みを持った人たちに共感してもらえたんだと思っています」とYOSHIKIは言う。曲の中に描いた「死」こそが、「救い」となって人々の心を解放していく。

 どんな時も彼の隣にあるのは、「音楽」という名の芸術だ。芸術はピュアなものだと語るYOSHIKIは、「創作しているときは一切嘘がない。だからこそ、今は自分を含め、一人でも多くの人を救うことができればいいと思っています」との思いを込め、ドクターストップがかけられるほど傷だらけの体に鞭打ちながらも音楽に寄り添っている。幼い頃に父を亡くし、大切な仲間を亡くした絶望感との戦いはまだ続いている。最後に「どんな時に幸せを感じますか?」と聞いてみると、「後半のステージのシーン。ファンの人たちが『X』コールをしてくれている姿を観た時、やっぱり僕は幸せだなって改めて思えたんです」という答えが返ってきた。長いトンネルを抜けてようやく見えた一筋の光。「ファンの皆さんがいてくれて、僕らがいるので。“WE ARE X”ですね」そう言って、はにかんで笑った。(取材・文:森田真帆)

映画『WE ARE X』は3月3日より全国公開
『WE ARE X』オリジナル・サウンドトラックは全世界発売中