歯周病と糖尿病に深い関係(depositphotos.com)

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 歯科医から2型糖尿病の疑いがあると言われたら驚くかもしれない。しかし、歯周病は隠れた糖尿病の徴候である可能性が、新しい研究で示された。

 この研究によると、重度な歯周病をもつ人の5人に1人は2型糖尿病をもち、しかも患者はそのことに気づいていなかった。この知見は、歯科クリニックが糖尿病前症や2型糖尿病のスクリーニングに適している可能性を示唆している。

 「口腔内の健康状態が悪化すること、なかでも歯周病の存在は糖尿病などの疾患の徴候になりうる。糖尿病前症や2型糖尿病を早期に発見し治療することは、その後の合併症予防において重要な課題だ」と、研究著者であるオランダAcademic Center Dentistry Amsterdam(ACTA)歯周病学のWijnand Teeuw氏は述べている。

重度歯周病の47%が糖尿病前症、18.1%が2型糖尿病

 世界中で増加が著しい糖尿病患者は、2010年には世界で2億8500万人と推定され、2030年には5億5200万人に達するとみられている。しかし、糖尿病患者の3人に1人は自分が糖尿病であることに気づいていないとされる。

 米国糖尿病協会(ADA)によると、糖尿病を治療せずに放置すると、視力障害や深刻な腎臓病、心臓障害、感染症などさまざまな合併症を引き起こす。同氏は、歯周病は歯茎に炎症を起こし、歯を支える骨をむしばむ感染症で、糖尿病の合併症と考えられることも多いと指摘している。

 「BMJ Open Diabetes Research & Care」1月号に掲載されたこの研究は、アムステルダムの歯科医院に来院した313人を対象としたもの。参加者のうち126人が軽度〜中等度の歯周病を、78人が重度の歯周病をもち、残りの109人には歯周病は認められなかった。参加者全員のHbA1c値を測定し、糖尿病前症や2型糖尿病の有無を判定した。

 その結果、2型糖尿病の診断歴がない人では、重度の歯周病をもつ人の47%が糖尿病前症で、18.1%が2型糖尿病であることがわかった。軽度〜中等度の歯周病をもつ人では46%が糖尿病前症で、9.9%が2型糖尿病であったほか、歯周病をもたない人でも37%が糖尿病前症、8.5%が2型糖尿病であることが判明した。

歯科と医療界がどこまで連携できるのか?

 歯周病専門医でADAのスポークスパーソンを務めるSally Cram氏は、自身の臨床経験でも多くの患者が糖尿病の存在に気づいていないことを実感しているとしつつ、「治療しても歯周病が治らない患者には糖尿病の検査を勧めるべきだ」と述べている。

 同氏によると、血糖コントロールが不良な糖尿病患者でも歯周病を治療すると糖尿病も改善するケースがみられるという。

 米モンテフィオーレ医療センター(ニューヨーク市)臨床糖尿病センター長のJoel Zonszein氏は、感染症によく罹ったり、治るのに時間がかかるのは糖尿病の重要な徴候であるとし、「糖尿病と歯周病の関係は両方向で、どちらか一方が改善すれば、もう一方も改善する」と説明している。

 なお、同氏は、この研究は因果関係を証明するものではないと付け加えている。

 また、Cram氏は、歯科トラブルのほとんどは歯周病であるが、歯を1日2回磨き、フロスを1回使い、定期的に歯科医の診察を受ければ予防できると、歯周病予防の大切さを強調している。

 なお、歯茎からの出血や歯茎の退縮、知覚過敏、息がくさい、変な味がするといった症状がみられたら歯周病のサインであるという。

 これまでも歯周病と生活習慣病の密接な関係は『口腔内の雑菌は100億個以上〜<除菌治療>が歯周病と生活習慣病を防ぐ!』『歯周病と関節リウマチに大きな関係性! 歯周病治療で関節リウマチが治るかも!?』などでも記事にしてきた。

『がんや生活習慣病と「歯の病気」には密接に関係が』の小峰一雄院長は豊富な臨床経験から、がん患者と歯周病患者に共通する5つの特徴をあげる。

 曰く、‥質を好む、低体温である、8魎郷牲个つねに優位にある、じ撞曚浅い、セ誓体質である。ことごとく当てはまるかたは一度がん検診をお勧めする。

 歯周病と生活習慣病の関連性をこの国の医療と歯科がどこまで連携して解明できるのか、さらには患者にどのような予防措置を施していけるのか、見守っていきたい。
(文=編集部)