シュート1本でノーゴールに終わった大久保。それでもパスで永井の決定機を演出するなど、怖い存在ではあった。写真:田中研二

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[J1リーグ2節]FC東京2-0大宮/3月4日(土)/味スタ
 
 パスが合わない、ボールが出てこない。大声を上げ、手を叩き、悔しさを露わにする。大久保嘉人は自分に、そして周囲に対して苛立っているようにも見えた。

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 きっとストレスを溜めているはず――。そんな先入観を持ってミックスゾーンで待ち構えていたが、予想に反して大久保は穏やかな表情で現われ、「ここでいい?」と前置きをして話し始めた。
 
「攻撃はまったくと言っていいほど良くなかった。それでも勝てたし、まだ開幕して2試合目だから。まずは勝点3をしっかりと積み上げることが大切。このまま勢いに乗っていきたいね。
 
 今日も自分のゴールはできなかったけど、まずシュートを打ててないから。でも、それはそれ。試合中に考え方を切り替えて、前でキープをしたり、パスを出したり、割り切ってチームのためにプレーできていると思う」
 
「攻撃がまったく良くなかった」と自省した部分に、こちらの勝手な思い込みでもっとダメ出しをするのかと思われたが、この日は少し様子が違った。昨季王者の鹿島、躍進を果たした大宮を相手に開幕2連勝を飾ったからだろうか――。
 
 だが、受け答えが進むにつれてその疑問が氷解した。
 
「周囲とここまで嚙み合わないのは想定内。移籍してきて、そんなに長い時間が経ったわけでもないし、焦る必要はない。いつか噛み合うだろうし、現状から『もっと良くなる』と、伸びしろに期待しているしね。
 
 さっきも言ったけど、自分のゴールよりもチームの勝利が最優先。誰かが得点してくれれば、今はいい。今季こそは『タイトルを獲りたい』と強く想っているから」
 
 すべてはリーグ制覇のために――。決意を持って青赤のユニホームに袖を通したストライカーの、実に“ベテランらしい”取材対応だったと思う。この日の大久保の言動には、沸々と湧き上がる闘争心によって、隠された牙が磨かれ続けていることを感じさせた。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)