C大阪戦よりも高い位置でプレーしていた中村。パスコースが少なく、連動した攻撃は限られたが、新たな発見もあったようだ。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1リーグ2節]磐田0-1仙台/3月4日/ヤマハ
 
 開幕戦でリーグ4位の走行距離(12.637キロ)を走り抜いた中村俊輔は、課題に対してアジャストしようと仙台戦に挑んでいた。
 
 それは、1トップの川又堅碁との距離感だ。C大阪戦では距離が遠くなり、川又が孤立してしまったが、仙台戦では極力ボールを受けに低い位置まで下がらず、「川又の近くにいようと思った」という。
 
 実際、前半にその効果はあった。中村を起点に、川又やアダイウトンがショートカウンターで仙台ゴールを強襲。20分にはセットプレーから決定機を作るなど、主導権を握りかけていた。中村も「前半は悪くなかった」と振り返る。

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 それでも、チームの運動量が落ちた後半は、選手個々の距離が遠くなり、パスミスを連発。自滅するような形で流れを失ない、逆に仙台にビューティフルゴールを決められてしまった。名波浩監督は「60分過ぎから1タッチ、2タッチプレーのリズムがなくなった」と指摘したが、中村の目にもポジショニングに問題があると映っていたという。
 
「後半に前と後ろが離れてしまった。ボールがないところでのポジションが良くないから、受けても窮屈でパスを返すしかない。僕は一番密集しているところ(ポジション)なんで、なかなか良いアングルでのボールがもらえない。こっちは休みどころがなくて、向こう(仙台)は3-4-3でサイドに散らせるから“オアシス”があった感じかな」
 
 後半にはビルドアップがスムーズに行かず、中村が最終ラインの位置まで下がる場面が増えてしまった。仙台からすれば、ブロックを作りながら中村をゴールから遠ざけることは狙い通りだったが、中村は様々な“可能性”を探るために、敢えてそうしていた側面もあったという。
 
「今日やってみて、(自分が)下がってもいいかなと思いました。(SBの)ミヤ(宮崎智彦)とコウスケ(山本康裕)がサイドを駆け上がってセンタリングを上げたシーンがあったかと言えばない。今は駆け引きできる選択肢がないから、一回下がってSBを上げて、ボール回しに厚みを出すのもありかなと。名波さんはそこに関しては何も言わないので、(自主的に)それを繰り返してみてもいい」
 中村は「まだ掴めないですね」としつつ、たとえ自分が思うようにプレーできなくても、チームが機能するならそれでもいいと話す。そこには、多くの人々から懸かる期待、移籍してきて10番を背負う責任感と強い決意が感じられた。
 
「今日みたいな試合も、自分の中では必要だと思います。やってみて、こういう感じなんだと。自分のプレーが上手くいかなくてもチームが上手くいくこともあるし、自分のプレーがスムーズに行くからこそチームの攻撃に厚みが出ることもある。たとえ勝ったとしても反省点は出るし、1年間それの繰り返し。ズレを減らしていって、勝利に近づけるようにしたい。少しずつですね」
 
 希代のゲームメーカーは、新たな課題とわずかな手応えを手に、次なる戦いに向かう。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)