女性の間でも今やすっかり定着した日本酒。

お店で日本酒を注文する時、よくメニューに「辛口」や「甘口」と書いてありますが、皆さんはどちらがお好きですか?

実は「甘口」と「辛口」って、よくわからないまま注文してる……。

そんな人も多いかも。そこで今回は、「甘口」と「辛口」の両方を飲み比べできる酒蔵の日本酒を、一般社団法人 日本のSAKEとWINEを愛する女性の会 代表理事の友田晶子(ともだ・あきこ)さんに教えていただきました。今さら聞けない日本酒の甘口・辛口。友田さんによれば「同じ蔵のものを飲み比べるのが一番わかりやすい」のだそう。

「日本酒度」が高いほど辛口

「辛口じゃないと飲んだ気がしない」「やっぱり甘口が好き♡」と、日本酒の好みは、おおむね「辛口」と「甘口」に分かれます。そして、どちらかといえば、男性や日本酒愛好家は辛口を、女性や日本酒初心者は甘口を好む傾向に。

日本酒の甘味を数値で表したものを「日本酒度」と言います。

お酒に含まれる甘味成分を測ったもので、マイナスになるほど甘口で、プラスになるほど甘口から遠ざかり辛口に近づいていきます。

今回は「甘口・辛口がよくわからない」というみなさんのために、同じ造り手の「甘口」と「辛口」をご紹介しましょう。日本酒初心者でも飲み比べしやすく、味わいの差をはっきり感じることができますよ。

東の代表「亀の井酒造」(山形)

山形県鶴岡市羽黒町、出羽三山の麓に位置する蔵で創業は明治8(1875)年という老舗です。ブランド名は一度耳にすれば忘れない「くどき上手」。ラベルに描かれた浮世絵の女性がなかなかのインパクトですが、品のある味わいとバランスのよさで全国にたくさんのファンがいます。

辛口タイプは「くどき上手 ばくれん 吟醸 超辛口」。全国の辛口日本酒ファンに愛飲されている銘柄で、日本酒度は+20。平均的な辛口数値はだいたい+1〜5程度なので、+20は「超」が3つくらいつく極めつけの辛口です。

甘口は「純米大吟醸 くどき上手 Jr.のヒ蜜」。実は、辛口「ばくれん」は社長兼杜氏の5代目・今井俊治さんの作品で、「Jr.のヒ蜜」はその息子であり専務の今井俊典さんが手がけた甘口バージョン。こちらは日本酒度-20と、「ばくれん」とは真逆! もちろん味わいはフルーティーでとっても上品。

まさに親子対決。同じ蔵元のお酒とは思えない味わいの差を楽しめる、今、大注目の2本です。

西の代表「ハクレイ酒蔵」(京都)

天橋立など風光明媚な観光地として知られる京都・宮津で、天保3(1832)年より創業する伝統蔵。酒蔵の眼前にそびえる丹後富士「由良ヶ岳」の嶺(いただき)に、冬の朝、真っ白な雪が積もった様子から「白嶺(ハクレイ)と名付けられました。

辛口は、その名もずばり「大辛口 酒呑童子 山廃本醸造」。日本酒度は+13〜+15となかなかの数値です。酒呑童子とは、いたずら好きの鬼のこと。昔話の中では悪ふざけが過ぎて退治されちゃったわけですが、そんな鬼の心も揺さぶるようなうまい酒がこの大辛口。まだまだ肌寒いこの季節、お燗もおすすめです。

甘口は、「甘口 京女 本醸造」。日本酒度は−5〜−7。京都の女性のように、はんなりとたおやかでしっとりした味わいです。デザートとしても楽しめるお酒で、お花見しながら和菓子と一緒にいただくのも◎。

本当の「辛口」は存在しない?

ここまで紹介してきて最後に言うのもナンですが、実は日本酒の「辛口」と「甘口」をはっきりと区別するのは難しいんです。というのも、米から作られる日本酒の大きな魅力は「旨味」にあり、旨味は甘味にもつながるから。つまり、どんなに旨味(甘味)を少なく造っても、「甘さ」は残ります。

さらに、日本酒には甘味の他に、酸味やアミノ酸といった旨味が含まれているので、単純に「甘い」「甘くない」では語れないという問題も。たとえば、日本酒度は「−」で甘口だけど、酸味が多ければ辛口に感じます。逆に日本酒度は「+」で辛口だけど、酸味が少ないので甘く感じることも。吟醸や大吟醸の場合、香りが華やかでフルーティーだと、たとえ味わいが辛口でも、甘く感じることがよくあるんです。

したがって、極論すれば、日本酒に本当の「辛口」は存在しないといえます。辛口というよりも「甘味が少ない酒」という表現の方が正しいかもしれません。

今回ご紹介した東の代表と西の代表は、その意味ではかなりはっきり「甘口」「辛口」を感じられるセレクトです。歓送迎会や花見など、みんなでワイワイお酒を飲む機会が増えるこの季節、「辛口」と「甘口」を飲み比べてみるのも楽しいですよ。