小林勇貴監督

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 本物の不良を俳優として起用した『孤高の遠吠』の小林勇貴監督最新作『逆徒』が3日、北海道夕張市で開催中の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017」で初お披露目。実際の不良がかもし出す不穏な空気感は前作を踏襲しつつも、リンチ、カーチェイス、乗用車破壊、放火など、やりたい放題にパワーアップした内容に、会場は興奮のるつぼに包まれた。

 『孤高の遠吠』が、昨年度の同映画祭オフシアター・コンペティション部門のグランプリに輝き、次回作制作支援金となる200万円を獲得した小林監督。今回、上映される『逆徒』も、実際の不良たちを起用。リンチによって死亡した少年が、絶対不死身の「逆徒」になって加害者たちのもとに迫り来る……という物語だ。「原始人がマンモスを倒すというのをやりたくて。原人っぽさを不良に足したイメージでした。『孤高の遠吠』では暴走族は騎馬民族、ヘルメットのついたバイクが首狩り族のイメージだったんです」と語る小林監督だが、「今回の主演の逆徒は現在、刑務所にいます。現在、取り調べ中で、執行猶予がつかないタイプ。あまり会えないヤツです」とこともなげにコメント。会場からは驚きの声がわき起こった。

 そしてその後は、小林監督の最新作『全員死刑』についてのトークに。同作が生まれたのは、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭がつないだ縁だった。「ゆうばり映画祭!コンペ以外の映画も殺す!!!全員ブチ殺す!」と不穏なツイートで遠ぼえをしていた小林監督に興味を持ったのが、特殊造形のプロ・西村喜廣。西村は小林監督に、「で、誰を殺したいんだ?」とゆうばり映画祭の場で声を掛けたという。

 まさに「ゆうばりでの殺意」でつながった二人は共同で企画を考えることに。そこで浮かび上がったのが、2004年福岡県大牟田市で発生した「大牟田一家4人殺害事件」の被告の手記に基づく鈴木智彦のノンフィクション小説「我が一家全員死刑 福岡県大牟田市4人殺害事件『死刑囚』獄中手記」(コアブックス刊)。その話を『冷たい熱帯魚』『凶悪』などを手掛ける日活の千葉善紀プロデューサーに持っていき、小林監督の商業監督デビューが実現することになった。

 『全員死刑』の主演は間宮祥太朗。エロスとバイオレンスがふんだんに織り込まれた内容は、実在の不良を起用してきたこれまでの作品とはガラリと異なるが、プロデューサーを務める西村は「これまで勇貴が自主映画で撮った作品とはガラッと違いますけど、期待していいと思います。今までの自主映画でやってきたことにプラスした内容で、やりたいことは全部やりましたから」とコメント。小林監督も、「ものすごいものができたなと手応えはあります」と会場の期待をあおっていた。(取材・文:壬生智裕)

「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017」は3月6日まで合宿の宿ひまわりをメイン会場に、夕張市内の各会場で開催中