韓国サッカー協会会長・鄭夢奎氏が日本と北朝鮮を巻き込む仰天構想を発表(写真:韓国日報より)

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 鄭夢奎(チョン・モンギュ)大韓サッカー協会会長が、2030年のFIFAワールドカップ誘致に関して驚きの発言を行った。
 韓国日報の報道によれば、2日、鄭会長は現段階では論議中としながら、「南北、中国、日本と力を合わせ、2030年FIFAワールドカップを誘致したい」との希望を語った。

 鄭会長は、「FIFAは2026年ワールドカップから、参加国数を既存の32か国から48か国へと増やすと同時に、2026年、2030年ワールドカップは2〜3か国が共同開催する方向性を示している」と語り、「該当国とは共同誘致のために継続的に協議していきたい」とコメントした。

 中国の吉林新聞によれば、昨年3月に中国大連の「大連万達グループ(中国語:万达集团)」が中国で初めてFIFAの後援企業として契約をし、その席でFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は「中国はサッカーの国で、ワールドカップを誘致する能力もある」とコメントしている。

 「大連万達グループ」の王健林会長は、大のサッカーファンとして知られており、リーガエスパニョーラ所属のアトレティコ・マドリードの本拠地命名権も取得している。中国とFIFAの急接近は、2030年「FIFA東アジアワールドカップ」の重要な布石となり得る。

◆北朝鮮の参画は現実的に可能なのか?

 一方、日本サッカー協会は、2030年のFIFAワールドカップ誘致に向けては積極的で、田嶋幸三会長は12日、「(日本での)単独開催は可能。素晴らしいスタジアムもある」と胸を張る一方で「共催でどういう形ができるのかは考えなければいけない」ともしている。

 FIFAがワールドカップ開催に際して規定している「8万人収容スタジアム」についても、当初は新しく立て直す新国立競技場が8万人収容予定であったが、東京五輪予算圧縮のあおりを受け、6万8000人に縮小されている。日本サッカー協会も「FIFA東アジアワールドカップ」を視野には入れているのだ。

 日本、韓国、中国の共同開催は、仮に可能だとして、北朝鮮との共催も可能なのか。

 設備の面でいえば、首都・平壌市にある「綾羅島(ルンラド)メーデー・スタジアム」がある。日本では余り知られていないが、世界最大の多目的競技場で、世界で12番目の規模を持つスポーツ施設であり、最大15万人の収容が可能だ。1995年にはアントニオ猪木氏がプロレス興行も行っており、2016年には大規模改修も行われている。

 しかし他の会場の整備は特にされておらず、仮にワールドカップの試合が行われるとすれば、この1会場のみとなることが予想される。

◆障害はやはり設備よりも外交関係

 しかし大事なことは、設備ではなく、外交上の問題だ。日本が何かを北朝鮮と「共催」するとは現時点では限りなく不可能に近い。そもそも今の外交状況では、韓国や中国との共催すら難しい状況なのだ。

 視点を変えてみた場合、韓国と北朝鮮、中国と北朝鮮、韓国と中国はどうか。

 こと韓国に関して言えば、大韓サッカー協会の鄭会長は、財閥・現代グループの創始者である故・鄭周永(チョン・ジュヨン)氏の家系であり、今は現代産業開発の会長をしている。現代グループと北朝鮮との繋がりは強く、韓国に北朝鮮融和派の新たな大統領が立てば、南北の政治的なムードも一気に改善される可能性は高い。

 中国と北朝鮮は、様々な問題を抱えつつもやはり「同盟国」であり、韓国と中国の関係も現時点ではTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備の問題で一時的な混乱はあるものの、日中関係ほどはややこしくない。

 ある意味、日本サッカー協会が腹案として抱えている「日・中・韓の共同開催」の実現性よりも、中国・韓国・北朝鮮の共同開催の方が、話がまとまりやすいかも知れない。

 日本サッカー協会としては、そのような事態だけは、絶対に避けたいところではあるが。

 ちなみに2030年のFIFAワールドカップは、南米サッカー連盟も、ウルグアイやアルゼンチン、チリなどへの誘致に積極的で、開催地に関しては2021年頃には決まるとされている。

<文・安達 夕>