(写真=インスタグラム)

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作品賞受賞作の発表を間違えるという前代未聞のハプニングがあった今年のアカデミー賞授賞式だったが、韓国のとある授賞式でも前代未聞の出来事があったので紹介したいと思う。

その授賞式は、2月28日に行われた「第14回韓国大衆音楽賞」。“韓国版グラミー賞”を目指して2004年に創設され、音楽性のみで受賞者を選定する名誉ある賞だ。商業的な部分は一切排除するためインディーズ歌手の受賞が多く、世間一般では残念ながらあまり盛り上がらない。

しかし今回の授賞式に限っては話題沸騰中。というのも、最優秀フォークソング賞を受賞した歌手イ・ランが、もらったトロフィーをその場で競売にかけてしまったのだ。

トロフィーを売ります

まずは、彼女の圧巻のスピーチから見てみよう。

「お金と名誉、楽しさの3つの中で2つ以上満たされない場合、授賞式に行くな、と友達に言われました。今日の授賞式は楽しくないし、賞金もありません。ただ、名誉はとてもありがたいです。(中略)私の先月の収入は42万ウォン(約4万2千円)でした。今月はありがたいことに96万ウォン(約9万6千円)です。苦しい生活の中で音楽をやっているので賞金が欲しかったのですが、頂いたのはトロフィーのみ。なので今、このトロフィーを売りたいと思います」

ここまで聞くと珍しくて面白いスピーチだ。しかし、彼女はまるで競売キュレーターのように、トロフィーを説明し始める。

「メタリックなデザインのキューブ型です。制作単価がいくらかは知りませんが、私の家賃が50万ウォン(約5万円)なので、50万ウォンから競売にかけます」

すると、会場では一人の男性が手を挙げた。トロフィーの落札者になった彼とイ・ランは、その場で現金50万ウォンとトロフィーを交換。今年のアカデミー賞ほどではないが、まさかのハプニングが起きたのだ。

意義のあることを伝えなきゃ

しかし、『ハフィントンポスト韓国版』によると、これはイ・ランが事前に計画したパフォーマンスだったという。

彼女は「賞金もなく、前もって受賞結果を通知しない。着飾って行ったのに手ぶらで帰れば虚しいと思った」らしい。それは自分が受賞した場合も同じで、「私が受賞すると、賞をもらえなかった人々が虚しくなるので、なにか面白いパフォーマンスで意義のあることを伝えなきゃ」と決めたそうだ。

彼女が言う「意義のあること」とは、印税のほとんどを流通会社が持っていく音楽業界の現状を訴えることだった。売れる人気アイドルならまだしも、インディーズ歌手はわずかな収入で貧困生活を送っている。授賞式の朝、自分の口座の残高に驚いたイ・ランは、その金額を知らせようと競売パフォーマンスを計画したとか。

そのパフォーマンスに対し、授賞式の現場にいた人々は「現実を風刺した良いパフォーマンス。愉快だった」と好評している。というのも、彼らはイ・ランに50万ウォンを渡した落札者が彼女のプロデューサーだったことを知っていたのだ。一方で、「授賞式を冒涜する行為。失礼極まりない」という非難の声も。ネットではパフォーマンスをめぐって賛否両論が巻き起こっている状況だ。

いずれにしても、一般には存在すら知られていなかった歌手が“一躍話題の人物”になったのは確か。イ・ランや韓国大衆音楽賞の今後の行方に、注目が集まる。

(参考記事:一生食べていけるかも!? 作曲で莫大な印税を稼ぐ韓国アイドルBEST5

(文=S-KOREA編集部 李 ハナ)