最優秀アニメーション作品賞に輝いた「この世界の片隅に」片渕須直監督

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 第40回日本アカデミー賞の授賞式が3月3日、東京・グランドプリンスホテル新高輪国際館パミールで行われ、片渕須直監督作「この世界の片隅に」が最優秀アニメーション作品賞に輝いた。ブロンズを受け取った片渕監督は、感激の面持ちでスピーチした。

 第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門の優秀賞を獲得したこうの史代氏の同名コミックを、「マイマイ新子と千年の魔法」の片渕監督がアニメ映画化。第2次世界大戦下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前向きに生きるヒロイン・すずと、周囲の人々の日常を描いた。

 クラウドファンディングでの資金調達が実り、入念な歴史考証を含め約6年の歳月を費やして完成させた渾身の一作。それだけに、片渕監督は「6年以上、諦めなくて良かったです。諦めなくて済んだのは、プロデューサーの丸山正雄さんが『もうちょっと続けようよ』と言い続けてくれたから。もし途中で『もう、いっか』と思っていたら、皆さんの心のなかにすずさんという、小さな、かわいらしい主婦の姿が宿ることがなかった。そう思うと、こういう風に立てているのが、色んな人の支えのおかげなんだなと思っています」と述べ、客席は温かい拍手を送った。

 見る者の心に深い余韻を残す物語・描写や、アニメ声優に初挑戦した女優・のんの好演が話題を呼び、興行収入は異例の20億円の大台を突破。現在も上映館数が増え続けており、音楽を手がけたコトリンゴは「監督と6年前に出会って、こんな素晴らしい作品に出合えました」としたうえで、「今世界に、どんどん小さなすずさんが遠征に行っています。心から応援したい」と万感の思いを口にしていた。