宮沢りえに代わってスピーチを行う中野量太監督

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 第40回日本アカデミー賞授賞式が3日、港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われ、『湯を沸かすほどの熱い愛』の宮沢りえが最優秀主演女優賞に輝いた。同賞を受賞するのは『たそがれ清兵衛』(第26回)、『紙の月』(第38回)に続く3度目2年ぶり。前回に続き、舞台出演のため発表の瞬間には立ち会えなかったが、最優秀助演女優賞に選ばれた娘役の杉咲花と“母娘”ダブルで最優秀賞受賞となった。

 本作は、宮沢ふんする余命宣告を受けた主人公・双葉が、行方不明の夫を連れ戻すことをはじめ、死ぬ前にやっておくべき四つのことを実現しようと奔走する家族ドラマ。自主制作映画『チチを撮りに』がベルリン国際映画祭に正式招待されるなど国内外で高く評価された新鋭・中野量太監督の商業映画デビュー作で、宮沢は監督のオリジナル脚本に強く惹かれて出演を決め、会う人すべてを包みこむ優しさと強さを持った人間味あふれる母親を熱演した。

 宮沢の代理で舞台に上がった中野監督は「りえさんとは実は同い年で、僕らにとってはずっと僕の世代のトップランナーでした」と若いころから女優として活躍し続ける宮沢をたたえると、そんな宮沢の映画デビュー作『ぼくらの七日間戦争』(1988)が「初めてレンタルで借りてきたものを何度も何度も見直した映画」だったと明かし、「今思えば僕の原点というか、これが映画だって思った映画」と告白した。

 さらに「今思うとそのとき主演の宮沢りえさんが僕に映画をやれと言っていたのかもしれない」と感慨深げな表情を浮かべ、「今回、商業映画デビューすることになったときに、りえさんが僕の脚本を読んでやってくれると言ったときはやっぱりうれしかったし、僕に映画を教えてくれたりえさんと映画をやるんだって思えたのが本当にうれしかったのを覚えています」と振り返った。

 また、気弱で引きこもり寸前だったが、宮沢ふんする双葉の、時に厳しくも愛情あふれる励ましを受け、たくましく成長していく娘・安澄を演じて最優秀助演女優賞を受賞した杉咲も、宮沢の代わりに登壇。「本当にうれしいです。りえさんから教えてもらったことは本当にたくさんあって、それはこの先ずっと忘れられないことばかりで、やっぱりお母ちゃんはすごいなって思いました」と尊敬のまなざしを向け、「お母ちゃんに代わって、映画を観てくださった方々、ありがとうございました。皆さんのおかげです」と感謝した。

 舞台出演のため途中退席し、発表の瞬間には立ち会えなかった宮沢だが、優秀主演女優賞に選ばれたことについてビデオメッセージで、「今日は本当に素晴らしい賞をありがとうございます」と喜びのコメント。これまでもさまざまなキャラクターを演じてきたが、「この双葉という役も(自分の体に)とても大きな爪痕を残して通過していきました。生きることの貴重さや、いろいろなことへの感謝を教えてもらっているような気がします」と語っていた。(編集部・中山雄一朗)