かつてSUVといえば四角いカタチが定番でした。狭い悪路ではボディ四隅の感覚を即掴むのが大切で、タイヤの位置もどこにあるのか分からないのでは困るわけです。場合によっては窓を開けて周囲の状況を目視する必要もあるかもしれません。

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ランクルだと70系あたりまで、初代チェロキーなどもそうでしたが、現存する四角いSUVはレンジローバー・ヴォーグやディフェンダー、ジープ・ラングラーなどオフロード系でも減っています。

レンジローバー(ランドローバー)の行く末も気になるところで、イヴォークを筆頭に世間の流れに乗ってきそうな気配で、レンジローバー・スポーツも少しずつ「角が取れた」フォルムになりつつあります。

長野県は斑尾高原で開催された雪上試乗会で、レンジローバー・スポーツを駆ってモーグルや急勾配の坂などがある特設コースを走りました。なお装着されていたウインタータイヤはピレリの「スコーピオン・ウインター」で、サイズは255/55R20(1本6万5880円)。

前(下)が見えないような急な下り坂や壁が迫る狭いコーナーなどでは、ボンネットの先が見切れると安心感がより高まりますが、レンジローバー・スポーツは正真正銘のコマンドポジションを取ることが可能で、視界の良さは失われておらずひと安心。

また、スポーツの名が付いても肝心要の悪路走破性に抜かりは一切なく、試乗前に運営側から指示があった「車高を最も高くして」、テレイン・レスポンス2を「草地/砂利/雪モードにして走行。この状態だとモーグルも急勾配の坂も何事もなかったようにクリアしてしまいます。

 

そこで舐めるようにゆっくりと坂道やモーグルを走ると、アクセルペダルの入力に対して(欲しい駆動力)きめ細かい制御がされているのがうかがえます。片輪の接地性が少なくなるモーグルでは、「テレイン・レスポンス2」はもちろん、「ダイナミック・レスポンス」などの電子制御が利いているのでしょう。「ダイナミック・レスポンス」は、前後アクスルを個別に制御することが可能で、低速では俊敏な走りを実現するもの。少し飛ばしてもスピンの気配すらなく雪上を走破していきます。

その後「テレイン・レスポンス2」をオートにして走っても何ら問題はなく、急勾配の下り坂では、車速が2km/hから30km/hで維持される「オールテレイン・プログレス・コントロール」も試しました。アクセルやブレーキペダルを踏む必要がなく、ステアリング操作に集中できますから凍結した下り坂などでは頼りになるはずです。

オンロードのスポーツ性に重きをおいた感のあるレンジローバー・スポーツ。しかし真価はまさにオフロードにあり、レンジローバーが最も何を大切にしているのかを再確認できました。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

雪上試乗会で実感したレンジローバー・スポーツの真の価値(http://clicccar.com/2017/03/03/450176/)