ネスレネスプレッソ社長 アレクサンダー・シェネガー氏

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 ワインはもとより、最近では牛肉なども「熟成」がキーワードとなり一躍ブームになっている昨今。マーケティング・リサーチ会社GfKによる調査によれば、コーヒーメーカー年間販売台数はここ数年右肩上がりに成長しており、2015年には240万台に拡大、4年間で1.3倍へと拡大したという。

 このように、調理家電市場の中でも安定した成長率を誇るコーヒーメーカー市場だが、中でもその牽引者とされているのがカプセル式コーヒーメーカーだ。3月1日、そのカプセル式コーヒーメーカー市場のトップリーダー、ネスプレッソが熟成させたコーヒー豆を使用する「エイジド・コーヒー」という希少なビンテージコーヒーを数量限定で発売すると発表した。

 ネスプレッソは誕生から30周年を迎えた2016年は、特に中国や韓国での伸長が目覚ましかったそうだが、いまだ日本市場の潜在能力に注目しているという。

 果たして、コーヒーメーカー市場としての日本の潜在能力とは何なのか? エイジド・コーヒー「セレクション ヴィンテージ 2014」の発表イベントを終えたネスレネスプレッソ株式会社社長、アレクサンダー・シュネガー氏に日本市場について聞いた。

◆日本市場はさらに重視する方針

――「ネスプレッソ」の日本登場は1986年のこととかなり昔のことにですが、売り上げは毎年概ね二桁成長だったとも言われています。なぜ日本市場でそこまで順調に成功できたのでしょう?

「ネスプレッソの登場以前日本では、ヨーロッパに比べると、本物のエスプレッソを提供している場が多くはありませんでした。そんな中に、優れた技術で、どんな人にも至福の一杯を提供できるようになったことが成功の要因だと思っています。また、ここ数年で一気に知名度がアップしたのは俳優のジョージ・クルーニーを起用したTVCMの影響も大きかったと思います。彼は単なるブランドアンバサダーとは異なり、ネスプレッソの企業理念に共感し、サポートしてくれています。ネスプレッソが行っている「ネスプレッソAAAサステナブル・クオリティプログラム」にも深くかかわり、南スーダンのコーヒー農業の再建を目指しているほどです。

 また、2013年の表参道を皮切りに、全国にネスプレッソブティックをオープンさせ、ネスプレッソの世界を体感していただける場を増やしたこともその理由だと考えています」

――ネスプレッソブティックとは、世界55か国に400店舗以上あるが、日本だけでも21店舗も展開しています。過去の記事でもネスプレッソが戦略市場とみて日本への投資を加速すると答えているが、その姿勢はまだ変わらないのでしょうか?

「もちろん変わりません。いえ、むしろ更に強化していこうというようになっております」

――ここ数年の日本は、サードウェーブコーヒーなどのブームもあって、「豆」への注目度がアップするような現象もありました。

「サードウェーブコーヒーのブームは、日本人のコーヒーに対する舌が肥えてきているがゆえに起きたブームだと思っています。このことは、ネスプレッソの味わいを求める人が増えるというポジティブな影響に繋がると見ています」

◆コーヒー市場としての日本の魅力3つのポイント

――2016年の御社の業績発表では昨年は中国・韓国が健闘したとあります。中国経済が傾いているとは言われますが、世界的な企業の多くはアジアでも中国市場に注目することが増えています。御社がなぜ日本市場をそこまで重要視するのでしょうか?

「日本には3つのポイントがあると考えています。

 1つ目は文化です。元々お茶の文化を持つ国であり、その一方でコーヒーが根付いて100年経っていません。数百年間コーヒーとともに生活してきたヨーロッパやコーヒー生産国とは状況が異なります。そのため、本当に美味しいコーヒーを知らない人はまだまだ存在していると考えており、これは、我々にとっての最大の機会だと捉えています。

 2つ目は日本人は品質に対する厳しい目を持っていることです。日本は世界一素晴らしい食品、製品に満ち溢れている国です。それゆえ品質を見る目が大変厳しい。私たちは目利きの人を「コノサー」と呼んでいて、コノサーのための一杯を提供してきました。私たちは私たちの提供するコーヒー、マシンの品質には絶対的な自身を持っております。その意味では、日本の消費者の厳しい目は、むしろメリットだと感じているのです。

 そして、3つ目は時間の過ごし方です。これまで日本は、世界と比較して非常に忙しい国でした。家族で、レストランで時間を楽しむ豊かな時間は少なかったように感じ、デメリットでした。ただ、この環境は近年大きく変化してきており、日本人の時間の感覚が変わりつつあるということです」

<取材・文/HBO取材班>