複数のメガクラブを渡り歩き、代表キャリアも華々しいものがあるポドルスキ。その経歴がJリーグの歴代助っ人の中でも屈指であることは言うまでもないだろう。 (C) Getty Images

写真拡大 (全2枚)

 ついにルーカス・ポドルスキのヴィッセル神戸入りが決まった。
 
 ここ数か月、トルコでもこの31歳のストライカーがガラタサライから神戸に移る可能性について囁かれていたが、今週火曜日の2月28日に報道が一気に沸騰。ベジクタシュとのイスタンブール・ダービーに敗れた(●0-1)翌日、ポドルスキがガラタサライとの契約を解消して即座に神戸へ移ると、スポーツ紙『フォトマチ』が伝えたのだ。
 
 この媒体は飛ばし記事が少なくないため、鵜呑みにはできなかったが、ほどなくしてより信頼できるスポーツテレビ局『NTVスポル』が、神戸とポドルスキが個人条項で合意したと報じた。
 
 そして3月2日、ヴィッセル神戸とガラタサライが公式に今シーズン終了後の移籍を発表。移籍金は260万ユーロ(約3億1200万円)と明かされた。
 
 ポーランド生まれの元ドイツ代表のキャリアは、Jリーグ史上最高の部類に入る。
 
 ワールドカップは2014年のブラジル大会で頂点に立ち、その前の2大会はいずれも3位(2006年のドイツ大会は最優秀若手選手)。スイスとオーストリアで開催されたEURO2008では準優勝の成績を残している。クラブレベルではケルン、バイエルン、アーセナル、インテルなどを渡り歩き、バイエルンでブンデスリーガと国内カップ、アーセナルではFAカップ、昨シーズンはガラタサライでも国内カップを制覇している。
 
 ただし、今シーズンは膝の負傷で出遅れ、その後も太腿にも怪我をしたこともあり、ここまでリーグ戦で15試合で4得点にとどまっている。その姿は覇気に欠け、ファンやメディアから批判されることもしばしばある。
 
 しかし、ポドルスキの気持ちも分からなくはない。
 
 2015年夏に3年契約で加入した時には、このチームでもチャンピオンズ・リーグ(CL)に出場することを目標に掲げていたが、昨シーズンのリーグ戦で6位に終わって出場権を逃したばかりか、クラブがファイナンシャル・フェアプレーに抵触したことにより、仮に今シーズンを上位で終えても、来シーズンは欧州カップ戦に出場できないのだ。
 
 ゆえに今回の神戸移籍は、彼に新たなモチベーションを与え、残りの日々では気持ちを入れ替えてトルコで有終の美を飾ろうとするのではないだろうか。
 もっともここ数年、緊縮財政を強いられているガラタサライも、年俸300万ユーロ(約3億6000万円)+出来高の高給取りを契約が残っているうちに手放して、移籍金を手にしたかったはずだ。
 
 一部の報道では、中国の複数クラブからのオファーもあったとされているが、それでも神戸を選んだのはポドルスキ側の意向だろう。中国勢に手放した方が、クラブが得る移籍金はより多かったはずだ。
 
 神戸での年俸は推定500万ユーロ(約6億円)。これできっとポドルスキは適切な意欲を取り戻し、Jリーグで期待に違わぬインパクトを残すに違いない。
 
 パワフルかつ高精度な左足は異次元のシュートとクロスを可能にし、高い知性と豊かな経験で攻撃的なポジション全域に対応する。また、笑顔を絶やさないナイスガイは、トルコに来た時と同様に、日本にも積極的に馴染もうとするだろう。
 
 ガラタサライでは入団の際にトルコ茶を片手にサインし、SNSにはトルコ語の投稿も続けた。今回の神戸への移籍も、自身のツイッターを通じて日本語でも発表している。現地のファンにとっては好感を抱きやすい行動だろう。
 
 ドイツ代表における129試合出場と48得点は、どちらも同代表歴代3位。ブンデスリーガで70得点(210試合)、プレミアリーグで19得点(60試合)、そしてCLで13得点(29試合)をマークした正真正銘のワールドクラスは、Jリーグでも大きな足跡を残すはずだ。
 
文:カーン・バヤズツ
翻訳: 井川洋一