「U-16プログラミングコンテスト 松山大会」の参加者と講師たち

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 北海道旭川市で誕生したU-16プログラミングコンテスト(U-16プロコン)の波が、静かに全国に広がろうとしている。先輩が後輩を指導しながら自分たちも学んでいく仕組みや、子どもたちの未来をつくるためにボランティアで集う大人たち、そして何よりも、未来への可能性をつかもうとする子どもたちの熱気がそれを支えている。

取材・文・写真/ITジュニア育成交流協会 市川正夫

●U-16プロコンが生む「未来をつくる循環」



 旭川市で始まったU-16プロコンは、実行委員会の熱意と小中学生のプログラミング熱の高まりによって年を追うごとに参加者が増え、昨年11月の第6回大会には市内外の中学・高校・高専から52人が参加した。4年前には釧路市に飛び火して、一時期は参加者を集めるのに苦労したようだが、昨年からは国立釧路工業高等専門学校が核になりながら安定した大会運営ができるようになってきた。さらに昨年は、一昨年の北海道大会の開催地、帯広市でも第1回の地域大会が開かれ、帯広工業高校の1年生が参加した。

 道内3大会の実行委員会の主要メンバーは、どの大会もほぼ同じ顔ぶれだ。旭川ICT協議会で出会った「子どもたちの未来をつくる」という志をもつ人々が、それぞれの地域で同じ思いを抱く大人を募り、学校を回って参加者を募り、コンテストの環境を整えてきた。それぞれの住まいから旭川や釧路、帯広への移動を繰り返して実行委委員会の会合をもち、大会の運営にあたってきたのである。広い北海道で、時間距離の長い移動はそれだけで苦労を伴うし、それぞれの地域での本業もある。しかもボランティアだ。それでも「子どもたちが熱心にプログラミングを学び、大会で素直に喜怒哀楽を表現する姿を見るたびに、次の大会への意欲が湧いてくる」(旭川工業高校の下村幸広教諭)という。

 回を重ねている旭川大会では、参加した中学生・高校生が「U-16」を卒業するまで、再度参加してくる割合が高くなっていて、コンテストが中学校のパソコン部の活動目標やプログラミング学習の成果を試す場として定着しつつあることがうかがえる。「U-16」を卒業して、そのまま大会の事前講習会などで講師としてプログラミングを教える側に回る子どももいる。旭川では、コンテストを軸に「子どもたちの未来をつくる」循環が生まれているのだ。

●第1回松山大会は中学1年生が制する



 今年は、愛媛県松山市でもU-16プロコンが産声を上げた。運営の中心は、多くのIT系コンテスト全国大会で好成績を収め、強豪校として知られる松山工業高校メカトロ部顧問・山岸貴弘教諭と部員たちだ。昨年の夏休みに開かれたポリテクセンター愛媛(愛媛職業能力開発促進センター)の親子ものづくり体験教室で「プログラミング体験」のコーナーを設けて感触を確認。11月の文化祭でもプログラミング教室を開き、12月25日には、午前にプログラミング教室、午後にプログラミングコンテストというかたちで大会の開催にこぎ着けた。松山市で主に林業関連のシステムを手がけるマイクロシステムの松本統一郎社長が、大会の実行委員長として協力している。

 教室・大会に参加したのは、松山市内と近郊から集まった小中学生18名。夏の体験教室や文化祭での教室に参加した子どももいる。

 プログラミング教室で小中学生の脇についてプログラミングを文字通り手取り足取り教えるのは、11月5日に開催された第37回全国高校生プログラミングコンテストで見事優勝に輝いたメンバーが中心のメカトロ部員たちだ。コンテスト参加した小中学生は、午後のコンテストで使用するゲームプラットフォーム「CHaser」で自分のコマを動かし、勝つことを目標に、コマの動きを制御するプログラムを書いていく。最終的には講師役の先輩たちの手を借りながらプログラムを完成させ、大会に臨んだ。

 トーナメントで行われた大会は、コマの動きに笑いあり、ため息ありの展開。初戦から決勝まで、スムーズな動きを披露した伊予市港南中学校1年生の金島綾さんが見事に優勝した。

 大会開催の実現に奔走した山岸教諭は、「第一歩を踏み出すことができた。参加者も生徒たちも、得るものがあったと思う。この成果を次回以降につなげていく」と、意欲満々。また、今年1月20日のBCN ITジュニア賞表彰式に特別招待者として出席した金島さんは、「プログラミングはとても楽しい。これからもたくさんの賞を受賞できるように努力していきたい」と、研鑽への抱負を語った。

 U-16プロコンは、さまざまな段階の「子どもたちの未来をつくる」活動だ。BCNとNPO法人ITジュニア育成交流協会は、今後も全国にこのムーブメントを展開していく。