大ヒットドラマ『ショムニ2013 DVD-BOX』より。江角マキコが演じるのは庶務ニ課のボス、坪井千夏。商品コピーは「男は、組織を作る。女は、時代を作る」だった。

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さっぱりした性格で、外見もクール。そんなサバサバした女を装う女性が増えている。内面の奥底には女のイヤなところが凝縮していたのだ――。

■「江角マキコ」は自称サバサバの代表格か?

自称サバサバ女が怖い……。自分で自分をサバサバしているという人は、実際は全然サバサバしていません。

芸能人でいうと、最近引退を発表した江角マキコさんがまず思い浮かびます。ドラマ『ショムニ』のイメージか、以前は理想の上司ランキングには頻出で、クールでかっこいい大人の女のイメージ。

でも、その「上司」が、気に入らない家族の家の壁に落書きするように命じたら?  サバサバだと思っていたらブログに突然ママ友とのドロドロな関係を書きつづったら? はたから見たら青学を舞台にした『ゴシップガール』みたいでドラマティックですが、当事者は大変です(編注:当時、江角氏の娘は青山学院初等部に通学していたと報道されている)。

また、最近も泥沼不倫(相手は投資詐欺事件に関係している男性)が報道されたこともあり、芸能界から身を引いてしまいました。彼女は、周りに求められるようにサバサバ女を演じ続け、本当の自分が抑圧されてしまったのかもしれません。

会ったことがある人によると、大きな声で手を強く握りながら挨拶するなど、真面目で一本気なキャラだったそうです。それも演じていたのでしょうか……。反動で理性のたがが外れてしまったのだとしたら、彼女もまたサバサバ幻想の被害者です。

でも、サバサバを演じていて実際は違う性格・キャラクター、というのは現実の世界でもよくあること。にせのサバサバ女の言動と対処法について考察してみます。

私の実体験では、サバサバ系の大人の女だと思っていた人が、実はかなり腹黒くヒステリックだった、という一件がありました。(特定されないためボカしますが)彼女は、あるイベントで欠席した人の悪口を触れ回ったり、盛り上げるため同業者の悪口を言うように焚き付けたり、それでもうまくいかないとヒステリックに泣いたり、かなり情緒不安定で周りを困惑させました。

そして、時々傍らの若い男子に発情。サバサバだと思っていたのが、単にだらしなくて適当な人だったようです。

■にせのサバサバ女は承認欲求がハンパない

にせサバサバ女の特徴は、女性に厳しく男性に甘い、ということ。

サバサバ女は内輪の業界っぽい空気を作り出し、他の女性を巧妙に仲間外れにしたりします。本当のサバサバ女は誰にでも淡々と接します。そして、サバサバ女はいつまでも女として自信やプライドがあるため、露出度が高めです。

「にせのサバサバ女は承認欲求がすごい強いです」とは、映像関係の男性談。

「プライドが高く、『私ってこうじゃない』と語りがちで、イメージを押し付けます。本当のサバサバ系は自分語りをしません。にせは、過剰にいい女ぶって、喋り方が芝居がかっています。でもだんだんロジックエラーになって、見せかけのサバサバを演じきれなくなってボロが出るんですよね」

冷静な男性はしっかり見ています。

女をアピールして、谷間や肌を露出しているにせサバサバ女。同性としては適当におだてるしかありません。メイクをしっかりしていますが険しい表情は隠せない、にせサバサバ女。横文字職業だったりマスコミに多かったりという話も。芸能界にもたくさんいそうです。

例えば、番長キャラの元モデル女性とか……。サバサバと勘違いさせてしまうのは、ガサガサしている声。おそらく酒焼けとか夜遊びの不摂生によって声がガサついてきているのですが、妙な迫力があり、圧倒されます。その乾いた感じと、年を重ねたことでにじみでる貫禄が、謎の威圧感になっているようです。頼れる姐さんだと錯覚しかねません。企業の女性管理職など、一般社会にもこの手は少なくないような気がします。

率直な自分、を演出するためかサバサバ女はキツいことを言い放ったりします。かつてビッグダディ(林下清志氏)に江角マキコ女史が、ある番組の放送中に「あなたはテレビに出る人ではありません」とか厳しいことを言った、という一件もありました。正直なキャラを大切にしているのでしょうか。

■好感度の高いサバサバ女を擬態する女の魂胆

私も先日、一見サバサバした女性に人生をダメ出しされたことがありました……。サバサバ言われたので、他意はなくありがたい助言なのかな、と一瞬思ってしまいました。

サバサバ女の擬態は、男社会でなめられずにステップアップしていくために身をつけた処世術、という説もあります。中身は誰よりも女女しているのに、わざと男っぽいふりをして、スキや弱さを見せないサバサバ女。ある部分では参考になるテクニックですが、ドロドロしたものが渦巻いていると思うと、一番敵にはしたくないタイプです。

女友達に、「周りにサバサバに見えて実は違う人っていませんか?」と聞いたら、「実は私がそうかも。周りには元気で明るいって思われているけれど、実は心に闇を抱えていて超暗いの」と告白。自分の闇を客観的に見ることができているので、にせのサバサバ女ではない気もします。

本物のサバサバ女は、たまに意識的に毒を発してガス抜きができます。にせものは、内側にマグマを押し殺しているので、いつ小規模噴火を起こすか、周囲の人間は油断できない状態です。

年長者になり、権力を得て、ある程度の地位になっていくと、誰でもサバサバ女になる可能性があります。にせサバサバ女を反面教師に、たまにスパや岩盤浴、ヨガなどでこまめにデトックスするようにしたいです。

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(漫画家/コラムニスト 辛酸 なめ子 辛酸なめ子=イラスト)