民進党の辻元清美・衆議院議員

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 森友学園という大阪にある小さな学校法人が、米ワシントン・ポスト、米ニューヨーク・タイムズ、英ガーディアン、中国・新華社通信、韓国・ハンギョレなどで報じられ、国際的な話題になっている。

 教育勅語を唱和するような国家主義的な教育を幼稚園で行っている森友学園が、大阪府豊中市に「瑞穂の國記念小學院」を開校するに当たって、格安で国有地が払い下げられたこと、同小学校の名誉校長にファーストレディである安倍昭恵・首相夫人が就任していた(すでに辞任)ことが、世界に衝撃を与えたのだ。

 この問題を追及し続けている、民進党の辻元清美・衆議院議員に話を聞いた。

「国有地というのは国民の財産ですから、売却したらどこにいくらで売ったか、公開されなければならない。だけど森友学園が開校しようとしている、瑞穂の國記念小學院への売却の案件だけが、公開されていなかったのです。豊中市の無所属の市会議員がそれに気づいて、なぜ公開しないのかということで、裁判を起こしたのです。私たちもそのことを知って、財務省と国交省の航空局を呼び、ヒアリングをしました。そうしたら財務省は、国有地の売買なのに、相手の関係で公表できないと、頑なに言うわけです。押し問答があって、翌日公表されたのを見てビックリ、約8億円もの値引きがされていたというわけです」(辻元議員、以下同)

 値引きの理由として、地下にあった産業廃棄物の処理に費用がかかったからだと説明された。

「9.9メートルの杭打ちをするときに、ぎっしり産業廃棄物が埋まっていたということですが、トラック4000台分ぐらいのすごい量になるわけです。あの周辺は細い道で、学校の通学路にもなっている。自治会とも協議しなければならないはずですが、私は自治会長にも会いましたが、そういう話もなかったし、そんなにたくさんのトラックも見たことがないというのです。産業廃棄物を処理するのだったら、市に届けなければいけないのに、そんな連絡はこの問題が大きくなるまで一切ないと、豊中市長からは聞きました」

 値引きする理由として、ありもしない産業廃棄物をつくり上げたという疑惑が持ち上がったわけだ。3月1日、参院予算委員会で民進党の藤末健三議員は、「ごみ撤去の費用、8億1900万円の算定を、専門の第三者機関ではなく、大阪航空局が実施しておりますけれど、算定の知見とか経験があるんですか」と質問した。国交省の佐藤善信航空局長は「ごみ撤去の、この撤去費について、撤去費について算定をしたことはございません」と回答した。

●「安倍首相がんばれ!」

 さらに問題なのは、森友学園はすでに塚本幼稚園を運営しているが、園児に教育勅語を唱えさせるなどの教育を行っていることだ。2015年の秋の運動会では、「大人は尖閣諸島や竹島を守り、日本を悪者として扱う中国、韓国は心を改めて」「安保法制国会通過良かったです」「安倍首相がんばれ! 安倍首相がんばれ!」と4人の園児が宣誓した。

 森友学園の籠池泰典総裁・校長は、「よこしまな考えを持った在日韓国人や支那人」と書かれた文章を保護者に配布したこともあった。幼稚園の経営幹部から差別的な手紙を受け取った、在日韓国人の園児の保護者から話を聞き、辻元議員は国会でも明らかにした。

「あなたも日本人になりなさい、みたいなことが書いてありました。その方は、泣きそうになりながら、私に手紙を見せてくれたのです。やっぱりこれはおかしいと思って、勇気を持って発言されたのです。本当に辛そうでした」

 他の国の人々が自分の国を愛する気持ちを共有できるのが、愛国心ではないだろうか。これでは単なる排外主義であり、ヘイトスピーチと同じだ。

●真相究明に自民党が反対

「国有地の土地取引は、財務省の理財局長が取り仕切っています。国有地の売買などですから、首相に説明に行く案件はあまりありません。しかし、安倍夫人が瑞穂の國記念小學院の名誉校長になった2015年(平成27年)には、頻繁に会っているのです」

 わかりやすいように、時系列に沿って見ていこう。いずれも15年の記録である。

・7月31日:迫田英典理財局長と財務省の事務次官が、安倍首相に面談。
・8月7日:麻生太郎副総理・財務大臣と迫田英典理財局長、事務次官が、安倍首相に面談。
・9月3日:財務省の岡本薫明官房長と迫田英典理財局長が、安倍首相に面談。
・9月4日:森友学園の建設工事関係者(キアラ設計所長、中道組所長)、近畿財務局池田統括管理官、大阪航空局高見調整係が、近畿財務局9階会議室で会合。
・同日:国交省の「平成27年度サステナブル建築物等先導事業」で森友学園の瑞穂の國記念小學院が選出され、約6200万円の補助金交付が決定。
・同日、安保法案の審議中であるにもかかわらず、安倍首相はテレビ出演のため大阪入り。
・9月5日、昭恵・首相夫人が塚本幼稚園で講演し、瑞穂の國記念小學院の名誉校長に就任。

 以上は、予算委員会の議事録や一般の報道で明らかになっている事実を、民進党がまとめたものだ。

「この間の質疑で明らかになったことは、森友学園を今年の4月に開校させるというスケジューリングで、財務省も大阪府の私学課も、進んで協力しているのではないかという点です。8億円もの値引きは、財務省なり、だいぶ上のほうから大臣も含めて号令をかけないと、できないと思います。開校に向けて大阪府も規制を緩めたりしているので、安倍首相と大阪維新の松井知事、そして日本会議、こういう政治的な動きと何か関連があるのではないかという疑念が、色濃くなっているのです」
 
 起こっていることを素直に受け留めると、ヘイトスピーチ的な排外主義を愛国心と勘違いしている学校の創設に、国が不法に手を貸したということになりかねない。

「当時の迫田理財局長は今、国税庁長官になっています。国会から答弁に呼ばれたら来なければいけない立場です。安倍首相は自分への疑念を晴らしたいのだったら、そのときに何を話したか関係者に国会で答えさせたらいい。自ら調査チームを立ち上げて、籠池さんのヒアリングもする、迫田元理財局長のヒアリングもする、昭恵夫人のヒアリングもする、そうやって汚名を晴らしたらどうですかと、私たちは言っているのです。だけど、当時の理財局長も国会で答弁させない。籠池さんを呼ぼうと言っても、自民党が反対する。そうするとますます、誰か来てしゃべられると困ることがあるのか、と疑いたくなります。安倍首相が、『僕は知らない!』と逆上しているのを見ると、痛いところを突かれたら急に怒り出すのは人間の習性かなと思ってしまいます」

 日々、疑念は深まっていく一方で、野党の追及がやむことはないであろう。
(文=深笛義也/ライター)