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トランプ大統領は初めての施政方針演説で、メキシコ国境での壁建設や1兆ドルのインフラ整備、減税などを打ち出した。だが拡張的な財政政策を進めれば、「ドル高」が加速しかねず、大統領就任直後から「ドルは高過ぎる」と市場への口先介入を続けてきた為替政策とは逆行する。「トランポノミクス」の二大看板、「移民」と「ドル」政策の矛盾解決の矛先は、どこに向かうのか。(「ダイヤモンド・オンライン」特任編集委員 西井泰之)

 28日夜(日本時間3月1日)の議会演説は「米国第一主義」で貫かれた。「あまりに長い間、雇用や富が外国に流れるのを目の当たりにしてきた」「(企業の海外移転や移民や輸入品の流入から)米国人の雇用を守る」「南側の国境沿いに大きな壁をまもなく作り始める」「1兆ドルのインフラ投資で新たな雇用を創出する法案の承認を議会に求める」──。米国人の雇用を奪っている移民や安い輸入品の流入を防ぐ一方で、インフラ整備や法人税減税などで、国内に雇用を作るというわけだ。

財政赤字拡大で金利高に
ドル高抑制のはずがドル高加速?

 柱になるのが、財政政策。国境の壁建設や道路や空港、鉄道などを整備するほか、法人税率引き下げや中間層への所得税減税も言及した。企業の設備投資や個人消費を刺激する狙いだが、財源が曖昧なうえ、当初税収は増えても、しばらくすると刺激効果は薄れ財政赤字が拡大するのは、80年代に減税と軍事支出で巨額の赤字を積み上げた「レーガノミクス」で経験済みだ。米国の財政収支は昨年年初から再び悪化し始めているが、米国の民間シンクタンクでは、トランポノミクスについても実施されれば財政収支は一時的に好転するが、数年後からは財政赤字が拡大する推計をしている。

 では、演説通りに政策は実施されるのか。伝統的に「小さな政府」、財政均衡路線の与党共和党がトランプ大統領の財政拡大路線とどう折り合うのかは見えないが、大統領選で支持基盤となった産業の疲弊地域や非熟練労働者に雇用機会を増やすという面では、政治的には重要な成果を上げることにつながるから、大統領も簡単には妥協しないだろう。減税と財政支出の拡大は、インフレ予想を高め、金利高が見込まれるので「ドル高」要因。金融緩和が続く日欧との金利差が拡大することになるから、投資資金の流入増など資本取引の面でも「ドル高」が進む流れだ。

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