1988年に公開されたロバート・ゼメキス監督の映画「ロジャー・ラビット」は、実写にアニメーションを合成する形で制作された映画です。実写とアニメーションを合成した映画は「ロジャー・ラビット」以外にもありますが、その中でも「ロジャー・ラビット」はアニメーションのキャラクターが作品の中に存在しているかのようなリアリティがあり、どうやってリアリティを出したのかその秘密に迫るムービー「Who Framed Roger Rabbit」が公開されています。

Who Framed Roger Rabbit - The 3 Rules of Living Animation - YouTube

「ロジャーラビット」はアニメーションキャラクターが実社会に存在するという設定で制作された映画で、見た人は作品の世界に本当にキャラクターが存在するかのようなリアリティを感じたはずです。



ムービー「Who Framed Roger Rabbit」を作ったkaptainkristianによると、「ロジャー・ラビット」はキャラクターにリアリティを持たせるために3つのメソッドが使われているとのこと。その1つが「目線」です。



目線はキャラクターと役者に感情的なつながり持たせたり、キャラクターと役者が同じ世界線にいることを見る人に感じさせたりするのに重要な役割を果たしています。



「ロジャーラビット」のキャラクターと役者が会話するシーンでは必ず目線が合うように作られています。



これは「メリー・ポピンズ」の1シーンですが、役者とキャラクターの目線が合っていないため、両者が同じ世界に存在していないかのような印象を受けます。



「ロジャーラビット」では先に実写を撮影して後からアニメーションを合成しています。そのため、先に撮影した実写で以下の画像のように役者の目線の高さがロジャー・ラビットよりも高くなってしまうシーンがありました。



このシーンでは、実写を撮り直すのではなく、ロジャー・ラビットが壁に背をくっつけて背伸びするようなアニメーションにして、役者とロジャー・ラビットの目線を合わせるように修正したとのこと。



「ロジャーラビット」のアニメーターは実写をプリントアウトした白黒のフォトスタットに直接キャラクターを描いており、キャラクターがどのように動くのか、それに対して役者はどのように動くのか、事前に事細かに決めておく必要がありました。



2つ目は「物理的な相互作用」です。



キャラクターと役者、小道具、セットが物理的な接触を行う際、両者の間には物理的な相互作用が発生します。



ロジャー・ラビットがお皿を頭にぶつければ、お皿は頭にぶつかった瞬間に割れる必要があります。また、ロジャー・ラビットがお皿を取る瞬間には、重ねられたお皿が微妙に揺れ、こういった細かい演出がキャラクターにリアリティを持たせます。



この物理的な相互作用を演出するために、「ロジャー・ラビット」では簡易のロボットを使って撮影を行いました。



ロジャー・ラビットが水を吐くシーンでは……



細い管を使って作られた装置が使われています。



アクションが起こると、必ずリアクションが発生し、この相互関係が崩れるとリアリティがでなくってしまいます。



ジェシカ・ラビットが服を脱がせるシーンでは、キャラクターが本当に服を脱がせている、つまり役者とキャラクターが同じ世界に同居しているというのを見ている人に印象づけるわけです。



1992年に公開された実写とアニメの合成映画「クールワールド」では、キャラクターが役者の服を触っても服が一切動かないため違和感があります。



最後は「光と影」です。



これはフォトスタットに描かれたロジャー・ラビット。影や光がないため、ペラッとしているのがわかります。



「ロジャー・ラビット」では、アニメーションに5種類の影を加えてキャラクターにリアリティを持たせているとのこと。



5種類の影を重ね合わせると……



キャラクターに影が追加され、より3Dっぽいように見えます。



光が当たっているときと……



光が当たっていないときを見ると影の違いは歴然。



このシーンではライトに重なる耳の部分だけ影が薄くなっています。こういった演出は見ている人が気づくことはありません。しかし、これがないとキャラクターにリアリティを持たすことは難しいというわけです。



CGの技術自体は1982年に公開された映画「トロン」で採用されましたが、1990年代に入ってから急激な成長を遂げてました。その代表作と言えるのが1991年公開の「ターミネーター2」や1993年公開の「ジュラシック・パーク」です。映画「ロジャー・ラビット」は、CGが全盛ではない時代に実写とアニメーションを融合させ、さらには他の実写&アニメーション映画よりもリアリティのある作品になっているのがすごいところ言えそうです。