トレッドミル運動後に炎症が抑制?(depositphotos.com)

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 生活習慣病の改善策のひとつとして、フィットネスに取り組む人は大勢いる。中でも糖尿病患者は、運動不足と肥満の解消が求められるため運動療法は不可欠だ。

 糖尿病で運動療法と聞けば<ダイエット効果>をイメージしがちだが、<20分の適度な運動に炎症を抑える>という意外な効果がこの度報告された。

 『Brain, Behavior, and Immunity』(2016年12月21日・オンライン版)に掲載されたこの新しい研究を報告したのは、米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)准教授のSuzi Hong氏。

 適度な運動をたった20分間行うだけで炎症を抑えられる可能性があるという。さらに興味深いのは、「健康によい運動は、必ずしも高強度である必要はないことを示唆している」という同氏のコメントだ。

 今回の研究報告は、身体の「炎症」に焦点を当てたものだ。傷や異物から身体を守るために免疫系が急反応すると炎症が引き起こされるが、この炎症が長く続くと糖尿病をはじめとする慢性疾患の発症につながると考えられている。

 たとえば、「肥満では高レベルの炎症が生じ、また、炎症による動脈の傷害は心疾患の発症に関与する」とHong氏は説明。これまでの研究で、定期的に運動を行うと炎症が抑えられることが示唆されていたが、この詳細な機序は明らかにされていなかったという。

<炎症>はすべての慢性疾患に関与

 研究では、健康なボランティア(成人男女47人)を対象に、中強度運動として20分間のトレッドミル運動を行ってもらい、その前後で血液検査を行った。

 その結果、トレッドミル運動後には、炎症に関連する免疫細胞が5%減少していることがわかったという。

 米アパラチアン州立大学(ノースカロライナ州)ヒューマンパフォーマンス研究所所長のDavid Nieman氏は、運動などの生活習慣と炎症について既に分かっていることが確認されたが、「炎症はすべての慢性疾患の発症や進展に関与するため、炎症をできるだけ抑えることが重要で、その最も有効な手段は体重管理だ」と述べている。

 また、Hong氏は、運動が身体にどういった影響を与えているのかを正確に理解することが今後の研究には不可欠だとし、「運動することで免疫や細胞レベルに変化が生じることを一般の人々にも伝えたい」と付け加えている。
強度よりも<運動の習慣化>が大事

 メディカルフィットネスのスーパーバイザーの村上勇氏は、「私も糖尿病の顧客に、運動強度よりも<運動の習慣化>が大事であることを指導している」と語る。

 「フィットネスの楽しさを知って継続するには、無理をせず、頑張り過ぎないことが大切だ。無理をすればケガにつながる。体を痛めて運動できなければ、ジムに通う気も減退する」

 「過度な運動は、身体だけでなく頭と心も疲れさせる。この疲れが溜まるとストレスにつながり、気分も憂鬱になっていやいや通うことになる。足に故障がある人は、トレッドミルの代わりにエアロバイクでもいい。『継続は力なり』で、必ずカラダの変化に気づくはず」(村上氏)

 厚生労働省が3年ごとに実施している「患者調査」の平成26年調査によると、糖尿病の総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は、 316万6000人。前回の調査よりも46万人以上増加しているという。

 糖尿病は、高血糖状態が慢性的に続き、全身の血管が障害される<全身病>だ。治療せずに放置していたり、不十分な治療のままでいたりすると、自覚症状のないまま、さまざまな合併症を招く恐れがある。

 厚生労働省発表の「人口動態統計の概況」によれば、平成27年1年間の死因別死亡総数のうち、糖尿病による死亡数は1万3327人にも上る。

 適度な運動が<カラダの炎症を抑える>という報告は、糖尿病患者にかぎらず健康やアンチエイジング心がけている人にとって興味深い知見である。
(文=編集部)

村上勇(むらかみ・いさむ)
フィットネスアドバイザー。JT東京男子バレーボール選手を引退後、現・スポーツクラブ「ルネサンス」に勤務。2007年から「メディカルフィットネス+スパ ラ・ヴィータ」のゼネラルマネージャーとして施設運営に携わる一方、トレーナーとして主婦や高齢者、アスリート(サッカーチーム・モンテディオ山形、加藤条冶:スピードスケート、黒田吉隆:レーシングドライバー)、著名人(指揮者・飯森範親など)を幅広く指導。現在は株式会社ドリームゲート代表として、スポーツチーム・アスリート・企業などを指導、運営協力に携わる。