二度目の武道館も盛況裡に終えたMayday(撮影=橋本塁・SOUND SHOOTER)

 台湾の人気ロックバンド、Maydayが去る2月3日・4日、日本武道館で、単独公演2DAYS『Re:DNA〜2017復刻版〜』を開催した。彼らにとっては一昨年以来2度目の武道館公演。ダブルアンコールにも応えるなど全27曲を熱唱した。また、ポルノグラフィティの岡野昭仁がサプライズで登場。岡野が初めて他のアーティストに作詞提供した楽曲「Song for you feat. Akihito Okano (PORNOGRAFFITTI)」を共に歌い上げた。岡野はこの場で「生まれて初めて他のアーティストに作詞提供しました。それがMaydayのこんなに素晴らしい曲で本当に嬉しい」と彼らを讃えた。

ミン(撮影=橋本塁・SOUND SHOOTER)

 この日披露された楽曲の多くは、現実を受け止めながらも未来へと向かう希望に満ち溢れたものだった。一昨年の武道館公演と同じく、序盤こそアッパーな楽曲で固められたが、終盤に向けては希望の花を咲かせるように明るいバラードナンバーが続いた。メッセージ性のある楽曲を観客とともに歌い上げるその様子からは、楽曲を通して互いの想いを共有しているようだった。

 観客でびっしりと埋まった武道館。一昨年前と同じ光景が広がっていた。発色を放つペンライトを振りながら開演を待つ観客は心を躍らせるように笑顔をのぞかせた。開演時刻を迎えると明かりが落とされる。黄色い歓声が飛び交うのとは対照的に、危機感を煽る赤色灯が場内を照らし巡り、サイレンがけたたましく鳴り響く。ステージ両脇の壁面に設けられたスクリーンには、映画さながらの映像が流れる。主役はもちろん彼らだ。誰かに追われる迫力の描写。黄色い車に乗る彼らはスリリングなカーチェイスを繰り広げる。

 物語が進行してくなかで突然、場内に破裂音が響きわたる。程なくして映像が終わると、ステージの幕が落とされる。その瞬間、眩い光が生き物のように四方八方へと飛び交う。“映像から飛び出した“彼らはステージ中央で構え、そして、大歓声を受けて1曲目を奏で、歌い上げた。「モーター・ロック/軋車」。こうして2度目の武道館は幕を開けた。

アシン(撮影=橋本塁・SOUND SHOOTER)

 2年ぶりの再会までに出来た空白の時間を埋めようと、アグレッシブなナンバーが続く。「Dou You Ever Shine?」、「HoSee」、「DNA」。間髪入れずに届けられていく楽曲たち。そのうえで繰り広げられるギターのモンスター(怪獸)による速弾きは高揚感を煽り立てた。曲の合間にボーカルのアシン(阿信)が短く挨拶する。そこで流れるメロディアスなイントロ。ステージ背面には大型スクリーンと、それを挟むように8分割した小型スクリーンが各16個。そこに映し出されるのはメリーゴーランド。夕焼け色に染まるステージに哀愁が漂う。そして、「君は幸せじゃないのに/■不是真正的快樂」を披露する。ベース音が強調されたメロディアスなナンバーに観客は心を潤すようだった。

 5曲を届けたところで再び映像が流れる。開演直後に流れた物語の続きだ。<ある日僕は気付いたこれが僕の人生? 毎日、毎月、毎年この繰り返し…DNAが同じにしているのだろうか…新しい自分を創り出したい…やり直したい>という趣旨のメッセージが心を突く。観客は、映像とメッセージを自己の日常生活に重ねるように感傷に浸っているようだった。映像が終わると目を覚ますように一瞬の無音。そのあと、ステージ下からベースのマサ(瑪莎)が登場する。1人、ベースを弾きながら曲を紡ぐ。やがて、他のメンバーもステージに現れ、音を重ねていく。「生存以上生活以下」。観客の心を洗っていく。

 この日、心を撫でるような優しいナンバーの合間には、こうした物語仕立ての映像が流れた。自己に問いかけるようなストーリーは、現実の世界へと引き込んだ。実生活のなかで抱える悩みや嬉しいことなどを映像で思い起こさせては、楽曲を通じてなだめ、そして元気を与え、応援していた。

ストーン(撮影=橋本塁・SOUND SHOOTER)

 観客を交えての大合唱となった「人生は海のよう/人生海海」や、ダンサブルな「瞬間少年ジャンプ/離開地球表面」、リズミカルなリフが特長のロックナンバー「Dancin' Dancin' feat. TERU (GLAY)」が届けられたあと、2年前の武道館でもおこなわれた、チャット形式での翻訳MCが繰り広げられた。これは、彼らの話す内容を即時にタイプライターが翻訳して、ステージ背面のスクリーンに日本語として表示させていくもの。

 まずはギターのストーン(石頭)が「本当に嬉しい。武道館は2度目でまだ慣れてはいないけど、この温かさは家に帰ってきたみたい」と感謝の言葉を送れば、マサも「外は寒いけどなかはとても温かい。何だか不思議な気分」と胸中を明かした。

 一方のモンスターは日本語で「本当に嬉しい、この2日間、ありがとう。新しいアルバムも持ってきたので楽しんでください」と挨拶。ドラムのミン(冠佑)は恒例の“台湾ジョーク”を交えてこの日の想いを表現した。

モンスター(撮影=橋本塁・SOUND SHOOTER)

 アシンは日本滞在時におけるメンバーとの思い出を明かし、ほっこりとした雰囲気にさせたところで、「続きをしましょう」と語り、メロディアスなロックナンバー「孫悟空」を歌い上げた。そして、いよいよ佳境へ向けて彼らの真骨頂であるミディアムバラードが立て続けに届けられる。

 バラードはバラードでも彼らの楽曲は明日への希望を抱かせる心に寄り添った楽曲だ。壮大な世界観の「John Lennon+僕/約翰藍儂+我」、ベースの音が強調された「大切な何でもない事/最重要的小事」などは聴く者の心に語り掛けるように優しく触れていく。

 ゆったりとしたテンポの「天使」はまるでエンドロールのように、過去を回想させた。そのなかで天井から舞い落ちる無数の白い風船。それを拾い上げ、飛ばす観客の表情は笑顔だった。そのまま「馬鹿/●人」へと紡ぐ。歪んだギターコードがイントロを繋ぎ、アシンが声を絞り、届ける。<ぼくが歩いてきた道に あるのは希望だけ♪><自分の夢に向きあっている♪><だから馬鹿なやつでいいんだ♪>。前向きの歌詞が勇気を与えるようだった。互いの存在は確かめ合うように最後は<LALALA>とシンガロング。その世界観はサウンドと相まって壮大なものに。特効で放たれた無数の銀テープが宙を舞うなか、温かい高揚感に包まれたまま本編は終了した。

マサ(撮影=橋本塁・SOUND SHOOTER)

 メンバーが深々と頭を下げて丁寧にお礼を述べてからステージを後にする。しかし、それを見届けぬままアンコールの大合唱が場内に響き渡る。それに応えるように、スクリーンには物語の続きが始まる。その後にEDMの要素を取り入れたダンスロック「Buzzin’」を届けた。日本語詞の同曲はどこかダークなイメージをのぞかせる。その世界観を更に妖艶にしようとストーンがライトハンドのギター奏法をみせてリズムに絡ませる。モンスターもそれに応じて体を躍らせながら弾いた。

 続く「出陣の歌/入陣曲」では、篠笛のような音色とEDMが導入部を飾り、その後を歪んだギターサウンドが次ぐ。サビに向けてスピード感が増したかと思えば、再びゆったり。しかしソロではモンスターが速弾きを披露して疾走感をつけた。ピッチをうまく使い分けて観客の心を翻弄とさせたところで、落ち着かせるようにバラード「頑固」を届ける。スクリーンに映し出されるミュージックビデオは物語仕立て。主人公の男性を通じて忘れていた夢などを思い起こさせる映像は胸が詰まるようだった。

 しっとりした空気感が場内に充満するなか、アシンがポルノグラフィティの岡野を呼び込んだ。大歓声に包まれる場内。岡野は手を挙げて「宜しくお願いします」と短く挨拶すると、岡野が他のアーティストに初めて作詞提供した「Song for you feat. Akihito Okano (PORNOGRAFFITTI)」をともに歌い上げる。まずはアシンがリードし、岡野が続く。伸びやかで力強い岡野の歌声に対し、アシンは柔らかくも芯の通った歌声。2人のコントラストにより楽曲の世界観はより立体的に浮かび上がった。大歓声の中で歌い終えた岡野は、アシンとバンドを讃え、ガッチリ握手。

共に歌うアシンとポルノ岡野(撮影=橋本塁・SOUND SHOOTER)

 そして、「生まれて初めて他のアーティストに歌詞を提供させてもらいました。それがMaydayのこんな素晴らしい曲で本当に嬉しいです」と語ると、Maydayに歌詞を書くことを決めた理由として「デビューした頃が一緒で、国は違うけど、同じキャリアを踏んできたなかで色んな楽しいことや悩みなどを経験してきたと思う。でも乗り越えられたのはファンのお蔭。それは僕らも変わらない。その想いを伝えられないかと思って」と説明した。これに観客は大歓声をもって受け入れた。

 岡野が去った後は、flumpoolの山村隆太とのコラボ曲「OAOA」を披露。アゲアゲのナンバーで盛り上げたところでステージを後にした。と思いきや、熱烈なアンコールに応えて再び戻ってきた。自分らの想いをしっかりと届けるようにしっとりとしたバラード「愛の記憶は突然に/突然好想■」を届けた。

 武道館公演の締め括りの曲として選んだのは、疾走感のあるアップテンポな「最高の一日/最好的一天」(最好的一天)。大空に羽ばたくような爽やかなナンバーで心が躍る。高揚感、そして余韻を残したまま、2度目の武道館公演は幕を閉じた。ダブルアンコール、全27曲が届けられたが、彼らが去ったあともアンコールの声は鳴り止まなかった。(取材=木村陽仁)

セットリスト

Mayday「Re:DNA 〜2017 復刻版〜」at 日本武道館
2月4日(土)セットリスト

1 モーター・ロック/軋車
2 Do You Ever Shine?
3 HoSee
4 DNA
5 君は幸せじゃないのに/■不是真正的快樂
6 生存以上生活以下
7 人生有限会社/人生有限公司
8 Crazy world+migratory(渡り鳥)/ 瘋狂世界+候鳥
9 The Yet Unbroken Part of My Heart/我心中尚未崩壞的地方
10 満ち足りた想い出/知足
11 人生は海のよう/人生海海
12 春の叫び/春天的吶喊
13 瞬間少年ジャンプ/離開地球表面
14 Dancin' Dancin' feat. TERU (GLAY)
15 孫悟空
16 乾杯
17 John Lennon+僕/約翰藍儂+我
18 大切な何でもない事/最重要的小事
19 天使
20 馬鹿/●人
EN1 Buzzin'
EN2 出陣の歌/入陣曲
EN3 頑固
EN4 Song for you feat. Akihito Okano (PORNOGRAFFITTI)
EN5 OAOA
-ダブルアンコール-
W EN1愛の記憶は突然に/突然好想■
W EN2最高の一日/最好的一天

漢字表記
■は、人べんに「尓」。
●は、上が「敢」に、脚が「心」。

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