日本のサッカーファンからすれば、済州ユナイテッドの名はまったくのノーマークだったかもしれない。ACL出場は2回目だし、昨季はKリーグ・クラシック3位だ。ただ、アン・ヒョンボムとチョン・ウンによる左右両サイドからの攻撃は、昨季Kリーグで高い評価を得ていたし、そのカウンター攻撃は昨季ACL王者の全北現代やFCソウルも手を焼いたほど、スピーディで脅威的とされてきた。ソ・ホジョン記者は語る。
「その済州の良さがG大阪戦では見事にはまった印象だ。今季のG大阪は例年に比べて戦力補強もなく良くないとは聞いていたが、済州があれほどの大勝を飾るとは思わなかった」
 
 だが、Kリーグ勢の今季ACLの展望は厳しい。グループステージ2試合を終えた今、日韓対決は4試合が行なわれたが、勝利したのは済州のみ。ソウルは浦和に、蔚山現代は鹿島に敗れ、水原三星も川崎相手にドローに持ち込むのが精一杯だった。韓国から見たJリーグの現状には様々な意見があるが、ソ・ホジョン記者は言う。
 
「4試合を見てまず感じるのは、G大阪と川崎は最前線にフィニッシャーがおらず、昨年よりも弱いのではないという印象だ。鹿島はタイのムアントン・ユナイテッドにまさかの一敗を喫したが、昨年末から続く連戦状態やタイへの移動などで調子を崩しただけで、新しく補強したブラジル勢トリオがチームにフィットするようになれば、上位を狙えるだろう。
 
 ただ、Jリーグ勢でACLタイトルを狙えるポジションにあるのは、浦和だと思う。宇賀神、関根の両サイドMFをうまく活用した攻撃は多彩だし、外国人選手に依存せず、チーム全体が強い精神力を持ち、まとまっている。何よりも自信にあふれており、個人的には“Jリーグ勢でもっとも手ごわく強い相手”という印象だ。今季はかなり良い成績を残すのではないか」
 
文:慎 武宏(スポーツライター)
 
シン・ムグァン/1971年、東京都生まれ。韓国サッカー取材歴20年。近著に歴代コリアンJリーガーへのインタビュー集『イルボン(日本)はライバルか 韓国人Jリーガー28人の本音』(ピッチコミュニケーションズ)。

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