G大阪を敵地で粉砕した済州・Uには、当然ながら高い評価が与えられた。(C)Getty Images

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 衝撃と歓喜の2日間。ACLグループステージ2節の結果に関する韓国メディアの反応は、このひと言に尽きるではないだろうか。
 
 衝撃とは、2月28日に埼玉スタジアムで行なわれたグループFの浦和対FCソウル戦のことだ。「崩れたKリーグのプライド」(総合ニュース『News1』)、「Kリーグ王者の屈辱、FCソウル前半だけで5失点の“さいたま大惨事”」(総合スポーツメディア『スポーツQ』)と、不甲斐ない結果で終わったFCソウルを叱責する記事が多かった。
 
 一方で3月1日に行なわれたグループHのG大阪対済州ユナイテッド戦は歓喜の見出しで一色だった。
 
 韓国では3月1日が、日本統治下にあった1919年3月1日に起きた“3・1独立運動”の記念日となっているのもあって、「“3・1節”に行なわれたプロサッカー韓日戦、済州がガンバを4-1で大破」(一般紙『中央日報』)、「済州、ガンバ大阪を看破、“3・1節”の手本に」(スポーツ新聞『スポーツ東亜』)、「済州、“3・1節”に日本で勝利の賛歌」という見出しが並んだ。
 
 対照的な結果に終わったこの2試合を、韓国のサッカー記者はどう分析しているか。聞いたのは著名なサッカージャーナリスト、ソ・ホジョン氏だ。
 
「まず浦和戦は、1-1で引き分けた2月のさいたまシティカップと同じ戦術を使ったファン・ソンホン監督の采配ミスだった。日本に強い他の監督たちと同様の采配を採るべきだった」
 
 確かにその通りかもしれない。Jリーグや五輪代表など“日本サッカー”を相手にしても強かったチェ・ヨンス(前FCソウル監督)、チェ・ガンヒ(全北現代監督)、ホン・ミョンボ(ロンドン五輪韓国代表監督)といった指揮官たちが“対日対策”として常に強調していたのは“中盤の封鎖”だ。

 日本サッカーの長所である正確なパスワークを遮断することから戦略を立て、そのために中央には常にふたりのMFを配置してきた。そのうちひとりは守備的で戦闘力のあるハードワーカーだった。
「だが、攻撃サッカーを標榜するファン・ソンホン監督は4バックの前に守備的MFキム・ウォンシク1名だけだった。キム・ウォンシクは浦和のパスを遮断できず、ソウルのCBだったカク・テヒとオスマールは浦和のカウンターに対応できなかった。

 ソウルのCBはサイズはあるがスピードが遅いという致命的弱点を、ペトロヴィッチ監督は見抜いていたと思う。浦和の得点シーンを見ると、いとも簡単にソウルの守備網を切り崩し、誤差がないボールタッチとパスワークを見せていた。完全にソウルの完敗だった」
 
 ちなみに昨季までのFCソウルは中盤にふたりのMFを起用していた。そのうちのひとりが高萩洋次郎(現・FC東京)であり、FCソウルのサポーターたちはACL2連敗で高萩が抜けた穴を惜しむ声が多い。ソ・ホジョン記者も言う。
 
「以前、ファン・ソンホン監督に高萩を手放してハ・デソンを加えた理由について尋ねたとき、こんなことを言っていた。『高萩は安定感があり、ポールキープ力も高いが、より攻撃的な試合運びをするためにハ・デソンを選んだ』と。ここにファン・ソンホン監督の今季の狙いが読み取れるが、今のところ裏目に出ている印象は拭えない」
 
 そして、そんなソウルと対称的だったのが、済州だったという。敵地にも関わらず、G大阪相手に4-1の勝利を飾ることができたのは、「定石の勝利だった」とソ・ホジョン記者は見ている。
 
「済州はKリーグ勢がJリーグ勢を打ち負かすためにはどうすべきかという“定石”を示した。それも、ふたりの守備的MFではなく、3名だ。個性が異なる3人のMF(イ・チャンミン、クォン・スンヒョン、イ・チャンドン)を配置し、各自が中盤でG大阪の攻撃の出鼻を挫いた。特にG大阪のパス展開のエンジン役である遠藤と今野には負けなかったし、経験豊富な済州の守備陣はG大阪にスペースを与えなかったことが勝利につながった」