R18+の話題作『お嬢さん』のパク・チャヌク監督、「快楽を追求する勇気を」

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 サラ・ウォーターズの人気小説『荊の城』を原案に、『オールド・ボーイ』『渇き』の鬼才パク・チャヌク監督が映画化したサスペンス『お嬢さん』(R18+)が3月3日(金)から公開になります。

 日本統治下の韓国を舞台に、富豪一家の財産をめぐって詐欺師が企てた計画とてん末を、日本と韓国、ヨーロッパの文化が入り混じる独特の世界観で描く本作。

 ヒロインふたりが大胆な裸体を披露しているのも話題です。現在、世界中の映画祭で外国語映画賞に73ノミネート、33受賞を記録している『お嬢さん』を引っ提げて来日したパク・チャヌク監督に話を聞きました。

◆原作者も映画のエロチックさに驚き

――映画化に際して、ここだけは原作の要素を残そうと意識された点と、監督らしさを出したところは?

監督:構成が第一ですね。原作は三部構成になっていて、二部を読んだ時に、観客は一部で読んだことをもう一度なぞるんですけど、同じ出来事を別の観点から見ることになる。それによって真相を知り、事態の全貌が分かるという構成になっている。とても興味深い構成ですし、教訓も与えてくれると思いました。やはり物事は一方的な見方だけでは全体像が分かりません。この、別の角度から見るというやり方はしっかり守って映画の中にも持って行かなければと思いましたね。

 それから大事にしたのは、女性ふたりによるベッドシーンです。(詐欺師から送り込まれた)メイドがお嬢様に、「男性はこういうことを望んでいます」と教えるのですが、ふたりは互いを想うようになりながらも、思惑があって演技をしている。ここも映画に持ち込みたいと思いました。

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 私らしさから挙げると、お嬢さんの尖った歯が口の中の肉に当たってしまうのを、メイドが痛くないようにしてあげるシーン。あそこも原作を維持しながら、映画のなかではもっと大きく見せたいと思いました。原作ではお風呂のシーンではありませんでしたが、映画ではお風呂でのシーンに作り替えています。原作者のサラさんが、「ここのシーンは、おばあちゃんがあんな風にしてくれたという記憶のある、自分の子供のころの体験に根差したシーンだったので、映画ではまさかこんなにエロチックになるとは思わなかった、妙な気分です」とおっしゃっていました(笑)。

◆映画館で111回観たという女性客も

――成人指定映画ながら、韓国でも大ヒットしました。観客のリアクションは男女で違いましたか?

監督:今回の映画に出てくる男性ふたりは、本当に出来損ないの男で、情けないところのある哀れな、みみっちい男たちです。そのため、男性の観客のなかでちょっと心が狭い人は不愉快な思いをして、居心地の悪さを感じたようですが、大方は笑いながら楽しんでくれましたね。でも映画館にはやはり圧倒的に女性の観客のほうが多かったです。舞台挨拶で全国を回ると、80%くらいは女性でしたね。映画館で111回観たというお客さんもいましたよ! 何度も観るお客さんというのは大抵女性でした。

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 女性のなかで少し文句があるという人は、男性ふたりが出過ぎていると言っていました。女性だけの物語をもっと観たいのにと。でも私としてはあくまでも4人が主人公だと思って作った映画なんです。そういう意見を言う人は、原作のファンの方が多かったですね。ただ、原作通りに作らなければいけないという決まりはありませんから。

――本編には春画が登場します。日本では1年半ほど前に春画展が開かれ、大変な反響を呼び、女性たちが多く足を運びました。『お嬢さん』では女性の強さが打ち出されていて、とても気持ちがよかったのですが、現代の女性たちのこうした変化を、監督はどう感じますか?

監督:わたしがこの映画で言いたいと思っていたことと通じるものがありますね。女性の性的な欲望というものを率直にありのままに表して、自らそれを認めて表現することをためらわない。そういうことを私は望んでいましたし、快楽を追求する勇気を女性に出してほしいと思っていました。この映画はそれを勧める映画ともいえると思います。現代の女性のそういった変化というのは、とっても望ましいことだと思いますし、まさにこの映画と通じるものがあると思います。

<TEXT/望月ふみ>
『お嬢さん』は3月3日(金)よりTOHOシネマズシャンテほかにて公開
配給:ファントム・フィルム
(C) CJ E&M Corporation