国内47銀行が参加する決済プラットフォーム「RCクラウド」の実証実験が良好に完了し、商用化に向けて前進した。3月2日に記者会見を開催した内外為替一元化コンソーシアム会長のりそな銀行常務執行役員 中尾安志氏(写真)は、「Rippleソリューションを邦銀のシステムに合わせて構築した『RCクラウド』は、世界初の取り組み。この試みは世界に発信できる革新性がある」と胸を張った。同コンソーシアムの事務局を務めるSBI Ripple Asia代表取締役の沖田貴史氏は、「当初3月末を計画していた実証実験を前倒しで実施した。すでに『RCクラウド』は本番と同等の機能で稼働している。今後、セキュリティ対策の強化などを行い、早ければ年内にも商用利用が開始できる」とし、国内銀行の新しい決済インフラによって新しい金融サービスの開発につなげたいと語った。
 
 「RCクラウド」は、ブロックチェーン関連技術(分散台帳技術)を活用し、外国為替に加え内国為替も一元的に扱う決済プラットフォーム。メインフレームを中心とした強固なシステムを標準で使っている国内銀行の勘定系システムと連携するため、Ripple社の次世代決済基盤(Ripple Solution)をクラウド上に実装するという世界に例のないシステムを構築した。
 
 「RCクラウド」は、現在の国内決済システムである全銀システムの10倍〜100倍量の決済を低コストで可能とし、高頻度の小口・リアルタイム取引に対応している。また、外貨送金など外国為替取引もリアルタイムで実施できるようになるため、現在は決済までに数日を要し、かつ、手数料も決済が完了するまでわからないという外為決済の不便さを解消することができる。
 
 内外為替一元化コンソーシアムでは、この新しい決済インフラのメリットをいち早く消費者に届けることを狙って、モバイルデバイス向けの「送金アプリ」の開発を進めている。日本の消費市場のキャッシュレス化は欧米や中国、韓国と比較しても遅れている。これは、数百円の小口送金にも百円を超える手数料がかかるなど、決済コストが高額なことも要因のひとつ。「RCクラウド」を使った「送金アプリ」が商用化できれば、飲み会の割り勘など個人間のお金のやり取りが、キャッシュレスで手軽にできるようになる。また、海外のショッピングサイトへの支払いなども、即時決済ができ、その際に必要な手数料も事前に分かったうえで利用できるようになる。
 
 同コンソーシアムでは、Ripple社が海外で金融機関によるコンソーシアムが進める本格的な商用化への取り組みを踏まえつつ、日本国内の銀行間取引の効率化について、あらゆる面での検討を重ねている。個人送金のみならず、企業間取引などのホールセール決済など、世界的に進むブロックチェーン関連技術を使った金融サービスの効率化によって、新しい市場をつくることをめざしている。
 
 現在、コンソーシアムへの参加は、銀行免許を持った金融機関に限定。2月末現在で47行になった。みずほフィナンシャルグループ、りそな銀行、三井住友信託銀行などの大手銀行から、横浜銀行、千葉銀行などの地銀、そして、住信SBIネット銀行、セブン銀行などネット銀行など、幅広い銀行が参加している。会長の中尾氏は、「16年10月に発足した時は42行だったが、現在は47行に増えた。さらに、参加銀行は増加する見通しにある。新年度は商用化に向けた大事な1年になる。コンソーシアム発足後、分科会に分かれて毎週のように開催している会合を重ね、キャッシュレス社会の基盤サービスを送り出していきたい」と意気込みを語った。