チームを救うゴールを決めた板倉だが、その後散見されたパスミスを猛省。(C) Getty Images

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[ACL第2節]イースタンSC 1-1 川崎/3月1日(水)/香港・旺角
 
 センターバックの奈良竜樹をレッドカードで失い、苦境に陥っていた川崎をボランチの板倉滉が救った。52分のことだった。
 
 川崎がピッチ中央から右に展開。スペースに走り込んでパスを受けた田坂祐介が、狙いすましたクロスを入れる。ハイネルを経由し、浮き玉になったボールを蹴り込んだ選手が誰なのか、スタンドからはしばらく確認できなかった。ゴールを決めた板倉の動きはそれくらい意外性に満ちたものだった。試合後、この場面について板倉に聞いた。何故あそこにいたのか。
 
「なんでですかね? 流れの中で、ですかね。セットプレー? セットプレーじゃないですね」
 
 セットプレーではなく、流れの中から。無我夢中にプレーしていたからか、板倉は最初、自らの動きについて思い出せなかった。ただ、話をすることで徐々に記憶が蘇り「ちょっとあそこは自分でもチャンスだなと思って」走り込んでいたのだと話してくれた。
 
 ゴールの場面。板倉は右サイドに展開した田坂に対し、手を上げてボールを要求していた。
 
「ファーにいたんですが、タッピーさんも最初はオレに合わせようとしてくれて。ただ、ボールが合わなくて、ハイネルがうまく落としてくれました。あとは突っ込むだけでした」
 
 ハイネルがカットし、背後に蹴り上げたボールは微妙な位置に飛んでいた。相手GKイェ・ホンファイが反応するなか、板倉は勇気をもってこのボールにチャレンジ。GKと交錯していてもおかしくないなか、これを押し込み、川崎に同点弾をもたらした。
 意外性のあるゴールを決めた板倉はその後、63分にカウンターを狙ったマッキーに対応し身体を投げ出して防いだ直後、左足を気にする素振りを見せて一時的にピッチ外に出ている。板倉にパスミスが散見されるようになったのはこの場面以降だった。
 
 イースタンSC戦を振り返る板倉は、試合終盤のこのパスミスを猛省。ただ、足の状態が関係していた可能性もあるのではないかと質問すると、「それは言い訳でしかないので。やっぱり最後のところで体力面だったり集中力だったりが原因だと思いますし、90分間を通してしっかり軸になれるようにやらないといけなかったな、と思いました」と述べ、言い訳することを良しとしなかった。チームを救ったはずの板倉は、自らのゴールに浮かれることなく、課題と向き合っていた。
 
 ゴールを奪った感覚をこれからも研ぎ澄ましつつ、試合終盤になっても途切れない集中力をぜひとも身に付けてほしいと思う。
 
取材・文:江藤高志(川崎フットボールアディクト編集長)