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By Paul Inkles

組織で問題が発生した場合に、リーダーは状況を迅速に把握し問題解決の方法を決めて行動に移す必要があります。このときに適切な判断を下すのが意思決定フレームワークの「Cynefin Framework」で、ビジネス関連のニュースを扱うHarvard Business Reviewで解説されています。

A Leader’s Framework for Decision Making

https://hbr.org/2007/11/a-leaders-framework-for-decision-making

Cynefin framework - Wikipedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Cynefin_framework

◆シンプル(Simple)

Cynefin Frameworkには状況に応じた5つのドメイン(思考領域)があります。Harvard Business Reviewは5つのうちの4つを解説しており、その1番目が「シンプル」です。シンプルというのは問題の原因と結果の因果関係が誰の目にも明らかな状況のこと。この状況下では、リーダーは状況を認識して分類し、実践に基づいた最善策を取ることが求められます。例えば、「支払われたローンの金額が必要分より少なかった(問題の認識)」→「ローンの支払い計画書を見直し今後の支払いプランを考える(分類)」→「支払いを受け取らない、もしくは資金を投与する(対応)」といった具合です。



By Liam Matthews

この状況下では、リーダーとグループメンバーの間で意見の不一致が起こることはかなり珍しいため、時間をかけた会議やコミュニケーションは不要とのこと。意思決定は他人に任せられるほど簡単に下せます。

◆複合(Complicated)

「複合」のドメインは、因果関係こそはっきりしているもののシンプルとは違い解決方法が複数ある場合のこと。このときは、リーダーは「認識→分析→対応」というフレームワークで問題を解決する必要があります。複合の問題に対するアプローチは簡単ではななく、しばしば専門家の意見を必要とする場合もあるとのこと。運転中の自動車に何らかの問題があるとドライバーが気づき、問題を診断してもらうために専門家を呼ぶような状況が「複合」に当たります。



By Clive Andrews

複合の状況下では、最善策ではなく適切な策を適用する必要があるとのこと。そのための専門家ですが、専門家は議論を呼ぶ提案を避ける傾向があり、また、専門家ではない人の意見を取り入れない傾向もあるため、リーダーは専門家の意見を聞きつつも他の意見を取り入れることが問題解決において重要になります。

◆複雑(Complex)

Cynefin Frameworkにおける「複雑」なドメインというのは、少なくとも1つの正しい答えが存在するものの、その答えを導き出せるかどうかはわからないという状況です。多くの企業で起こる「不調な四半期」「経営陣の入れ替わり」「合併や買収」といった問題はこの「複雑」に当たります。この複雑の状況では、問題発生後から振り返らないと因果関係を理解するのは難しく、事前に把握するのは不可能。リーダーは最初に問題を調査し、そして認識してから対応する必要があり、議論の中で突発的に出てきた対応策を取ることが大事とのことです。問題を解決するための素材がたくさんある状況下よりも、素材がほとんどない状況下の方がクリエイティブなアイデアが生まれることもあるそうです。



By ING Nederland

◆カオス(Chaotic)

「カオス」のドメインは、原因と結果の因果関係が存在せず、問題解決に対する正解を見つけようとするのが意味をなさない状況です。実際にあった問題で例えるなら、2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ事件がカオスに当たります。カオスの状況では、リーダーはまず指揮を取るための「行動」をおこし、状況が不安定な場所と安定している場所を認識します。そして、「カオス」から「複雑」へと状況を変えて対応します。このときのコミュニケーションは、リーダーからメンバーに支持を出すトップダウン型でなければダメで、アドバイスを求めている時間はないとのことです。



By Steve Corey