左から永島昭浩氏、JOY、MCの小嶋真子、松木安太郎氏、フローラン・ダバディ氏

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その場しのぎのお金の使い方ではクラブが育たない


 今季から衛星放送のスカパー!ではなくネット配信のDAZNが試合中継をするようになったJリーグ。開幕戦では視聴トラブルが相次ぎ、苦難の出だしとなったるばかりだが、巨額の放映権が支払われることでJ1は1ステージ制に回帰した。さらに、優勝チームには3年間で最大18億5000万円の理念強化配分金が支払われることに。Jリーグでは前代未聞の巨額な優勝賞金を得られるため、優勝チームは戦力補強のみならず、新たな施設等を増強しチーム強化により力を入れることが予想される。今回のウェブ番組『F.Chan TV』とのコラボ企画では、『サッカー大討論会』の模様をお届けする。解説者の松木安太郎氏、永島昭浩氏、元日本代表通訳のフローラン・ダバディ氏とタレントのJOYをゲストに迎え、理念強化配分金の正しい使い方について話し合ってもらった。
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JOY「難しいね、これ(笑)。やっぱりチームによっても違うから。でも18億5000万円入るんですね、3年で」

松木安太郎(以下、松木)「でも勝ったチームでしょ? これって」

JOY「じゃあ、さっきの松木さんの話じゃないですけど、もし弱いチームが優勝したら、相当大きいですよね」

松木「だからね、それがねえ……難しくなるんじゃないかと思うよね。弱いチームが勝つ構造というのが難しくなるんじゃないかと思う。だって、今上位のチームと下のチームの、基本的にかけてる金額って元々相当差があるでしょ」

永島昭浩(以下、永島)「そうですね。ですから、今年のレスターのように、去年優勝して、今年落ちるかもしれないと。そして、18億入るんだけども、来年は0になるかもしれないと。短期的な計画は出来ますけど、長期的な計画で使う資金としては不安定になる、ということですよね」

フローラン・ダバディ(以下、ダバディ)「スペインではね、本当はバルセロナとレアルしかキャッシュイン(お金が入ってくること)しなかったその放映権がますます平等になりつつあって、今はもうちょっと平等に渡るんです。乾(乾貴士)くんが行っているエイバルという小さなクラブがあって、バスク地方の山と山の間に挟まれている本当に小さな集落にあるクラブなんですよ。

突然沢山のお金が入って、彼らは育成年代向けのファシリティ(施設)を作ったりとか、すごく良い選手を初めて取ったり。確か、今あまり見てないけど、リーガでトップ8ぐらいに入っているよね? 

例えば日本とか中国でサポーターズクラブを始めて、それに投資をするようなものすごく優秀な経営者がいれば、今永島さんがおっしゃったような長期間のビジョンが生まれるかもしれない。ただ、その何億円でパッと監督とか選手だけに投資をするのはちょっと違うのかなあ」

永島「僕もそう思います」

松木「当面の、このチームだけを短期に強くするための金額じゃない、っていう。そこ(監督や選手)に投資しないほうが良いってことですよね? 僕もそう思うな」

長期的なビジョンを持ち下部組織の充実を!

松木「例えば今、強いチームとそうでないチームの大きな差は、そのチームでお金が無いときにそのチーム内で人材育成ができるかどうかということだと僕は思ってる。だから、今、スペインではその人材育成のところに下の世代を育てる一つの機構を作った、とダバディさんがおっしゃったけども、やっぱりそこだと思う」

ダバディ「それが出来ないのが中国(スーパー)リーグであって、トルシエ監督がおよそ四年間いたんですけど、新しいスポンサーが付く、お金が入る、そうするとすぐにキラキラした買い物をして、何もインフラのことやっていない! 育成もやってない」

JOY「目の前の良い選手を取るようなことしかやってないってことですよね。ユースを育てたりとかも」

ダバディ「…が無いから、僕は中国が将来的に怖いとあんまり思わないしね」

松木「中国って携帯電話とかコンピューターとかがすごく早くから普及したけども、肝心な電気とか電話が通じていないっていう場所もあるぐらいに広いところだから……。まずそこからやってくださいよってところなんだよね」

JOY「小さなところを飛ばしてしまうんでしょうね。確かに、未来を考えた、ユースや育成への投資とかってところなんですかね」

松木「結局Jリーグ始まった頃も、例えばサテライトリーグとかね。目標はトップチームに入る選手をどうやって上に押し上げていくかということだったけれど、志半ばで途中で良い選手が出てこないからやめた、いうようなことになってしまった」

クラブとして成功するためにはまず何に投資をすべき?

松木「今、学校教育とクラブチームがその地域で共同作業できているような地域は強くなっているんだよね。例えば、鹿島アントラーズは、高校と協力している。だから、日本のシステムで一番の問題は、学校教育とクラブチームをどうやって融合させるかっていうところで、それが昔からのポイントなんだよね」

JOY「結構でもJリーグとか見てると、じゃあ良い選手が取れないから勝てないとか、お金が足りないっていうチーム結構多いと思うんですよ。だからもしお金が入ったときに、結局補強の部分に使うチームが多いんじゃないかなと思っちゃうんですけど」

松木「逆にそこに使わざるを得なくなるのが、さっき言ったあんまり上位に食い込めないチーム。どうしても、その状況でまず強化をしたいって思ってしまう、これはしょうがないと思うよね」

ダバディ「でもそれだったら監督だと思う。選手じゃない」

JOY「ああ、監督ですか、やっぱり」

ダバディ「監督、やっぱりそこにビジョンを持ってる監督。例えばハリルホジッチさんにお金を預ければ、トルシエさんもそうだけども、本当にユースまで(改革をする)。例えば、ヴェルディを再建しろって言われたら、女子サッカーのこと、地域密着のこと、学校、全部やると思う。

それぐらい、マネージャー的な、ヴェンゲルさんみたいなビジョンを持ってる人を……、っていう投資だったら、まだアリかなとは思う」

"地元に根付いたサポーター"がクラブを本当の意味で強くする