イ・ボミ(28歳)やキム・ハヌル(28歳)ら、韓国人美女ゴルファーの活躍に沸く日本女子ツアー。そして今季、がぜん注目を集めているのが、「8頭身美女」と評判のユン・チェヨン(29歳)と、「セクシー・クイーン」と称されるアン・シネ(26歳)の、新たに日本ツアー参戦を果たす”美人刺客”たちだ。ツアー開幕前にもかかわらず、彼女たちの名前をどこかのメディアで目にした人は少なくないだろう。

 だが、そのふたりにばかり目を向けてはいられない。実はもうひとり、今季から日本ツアーに挑む、韓国の若手実力者が存在するのだ。


今季から日本ツアーに本格参戦を果たすイ・ミニョン 名前はイ・ミニョン。1992年3月13日生まれの24歳。韓国ツアー通算4勝の実力者である。昨年の日本ツアー・ファイナルQT(※)で4位という好成績を収め、今季レギュラーツアーの出場権を得た。
※クォリファイングトーナメント。ファースト、セカンド、サード、ファイナルという順に行なわれる、ツアーの出場資格を得るためのトーナメント。ファイナルQTで40位前後の成績を収めれば、翌年ツアーの大半は出場できる。

 ルックスやスタイルで騒がれるユンやアンに比べて注目度は低いものの、その実力は相当なものだ。日本初参戦ながら、初シード権獲得はもちろん、ツアー初優勝さえ手の届く逸材であることは間違いない。

 彼女は過去に一度、絶望を味わっている。それによって、ついた通称は「不屈のゴルファー」である。

 その絶望とは、腎臓がんを発症し、現役時代に一度は死を覚悟したことだ。

 遡(さかのぼ)ること2年前。2015年3月に中国で開催された欧州女子ツアーのミッションヒルズ・ワールドレディスチャンピオンシップに出場したイ・ミニョンは、急な腹痛に見舞われた。最初はそれほど気にならなかったが、徐々に気絶しそうなほどの痛みに変わっていった。

 そこで、試合を途中棄権。すぐに韓国に帰国して病院へ向かうと、医師からは「膀胱炎か、それに似た何かの症状だから、心配することはない」と言われたという。だが、あまりの痛さから、彼女は精密検査を希望した。すると、そこで重病であることが発覚。腎臓がんと診断された。

 そのときの心境について、イ・ミニョンは後に韓国メディアにこう語っている。

「がんであることを告げられた瞬間、涙があふれ出ました……。あまりにもショックで、あっけにとられて、怒りも込み上げてきました。家に帰ってからは、両親に『ごめんなさい』と言って、また泣きました」

 手術を受けるまでの10日間、イ・ミニョンは「生と死について、ずっと考えていた」という。ただ一方で、目の前の現実から目をそらすかのように、練習場で必死に球を打ち、ラウンドも精力的にこなした。

 その中で、彼女は「生きたい」と強く思った。最後まで諦めず、がんと闘うことを誓った。その思いが実ったのか、手術は無事成功した。

 それから、彼女は懸命にリハビリに励んだ。さらに、一度失いかけた”命”を取り戻したことで、ゴルフができる喜びを改めて実感。それまで以上に、練習やトレーニングを精一杯、それも楽しみながらこなしていった。そして、手術からわずか1カ月後、ツアーに復帰した。

 その復帰戦で、彼女は現地メディアにこう語った。

「遊びに行くような感覚で、試合に出場しようと思いました。昔みたいに、成績ばかりを気にして、ストレスをためないように努力しました」

 以来、イ・ミニョンは「人が変わった」と言われる。闘病生活の間に、何事にも感謝し、日々の生活を普通に送ることの大切さ、ありがたみを知ったからだ。

 韓国メディアに明かした次の言葉が印象深い。

「体を悪くして、試合に出られないことが本当につらい、ということがわかりました。健康な体で試合に出られることに感謝しています」

 そうして、がんを克服したイ・ミニョンは、2016年7月の韓国ツアー、クムホタイヤ女子オープンで1年9カ月ぶりに優勝。ツアー通算4勝目を飾った。生きることを諦めなかった彼女の、劇的な復活劇だった。

 イ・ミニョンをよく知る関係者は、「彼女は海外で生活することにおいても、何ら臆することなく、すべて自分でこなしていけるタイプ。練習するときも、自分でキャディーバッグを担ぐような人ですから。日本にもすぐ適応できるでしょう」と太鼓判を押す。

「一度は死を覚悟した」という、イ・ミニョンの精神的な強さは計り知れない。がんを克服して見事に蘇った彼女が、今度は日本という新たな舞台でどれだけの”輝き”を放つのか、必見である。

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