うつ病など気分障害と身体の病気は強く関連し、うつ病があると心筋梗塞の発症リスクは4倍以上に上昇する。近年はがんとの関連が指摘されている。

 先日、英国から特定のがんと気分障害の関連を示唆する研究報告があった。

 解析対象は1994〜2008年に英国保険サービスが実施した16の国民健康調査(HSE)に登録した16歳以上の非がん男女、約16万3000人分のデータ。登録時点で精神的健康を評価する「GHQ-12」に回答している。

 GHQ-12は、職場のストレスチェックでもよく使われる調査票で、睡眠障害の有無、決断力、判断力の状態や抑うつ気分の有無などを測る12の質問項目から成る。

 たとえば過去4週間に「問題を解決できなくて困ったことがあったか」という質問に対し、「全くなかった(0点)」「あまりなかった(0点)」「あった(1点)」「しばしばあった(1点)」という4段階で回答するもの。精神的な問題がない0点〜強い抑うつ状態の12点で評価される。

 今回の調査では、平均9年半の追跡期間中に1万6267人が死亡。このうちがん死は、約4人に1人に当たる4353人だった。

 喫煙歴や肥満など他の影響因子を補正し、がんと気分障害との関連を解析した結果、GHQ-12スコア12〜7点の抑うつ気分がより強い人は、6〜0点の人よりも結腸・直腸がん、前立腺がん、膵臓がん、食道がん、白血病で死亡するリスクが高いことが示された。特に、結腸・直腸がん、前立腺がんはGHQ-12スコアが上がるに従って死亡数が増加した。

 研究者は「うつ病など気分障害は、特定のがんが未診断、あるいは初期のうちに先行して発症している可能性がある」としている。

 がんに先行する気分障害は「警告うつ病」ともいわれ、膵臓がんでは早期発見の手がかりになるといわれている。

 思い当たる原因はないにもかかわらず急に抑うつ症状が出た場合は、念のため血液検査や画像診断でがんの可能性を探っておこう。身体からのSOSで早期発見できればラッキーなのだから。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)