1080から35%速い「初の4KVR対応GPU」GeForce GTX 1080 TiをNVDIAが発表

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GPUメーカーのNVIDIA(エヌビディア)が、コンシューマー向けGPUの最上位となる『GeForce GTX 1080 Ti』を発表しました。搭載カード第一陣となるFounders Edition(NVIDIA設計カード)の米国発売は来週より開始され、MSRP(市場想定売価)は699ドル。

このMSRPは現行モデル『GeForce GTX 1080』の発表当初と同じ。そのため日本での実売価格は、1080発売当時と同等の10万円前後からと想定されます。

特徴はその速度。NVIDIAは1080と比較して「約35%の速度向上」とアピール。さらに従来の最高速モデル『NVIDIA TITAN X』(原稿執筆時の米国実売は1000ドル前後)に対しても、僅かながら上回る速度を達成します(公称で3〜4%高速)。

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このためか、キャッチフレーズはずばり「Ultimate GeForce」。日本でも「究極のGeForce」です。またVRアプリでも、4K解像度で実用的なフレームレートが実現できる、との意から「First 4k VR Ready GPU」とも謳います。

なお、一部マニアなどから「同時に発表される可能性があるのでは?」と注目されていたGTX 1070 Ti(仮)に関しては発表されず。その代わりGTX 1080のMSRPが499ドルからと、100ドルの値下げとなりました。



基本構造(アーキテクチャー)は1080と同じPascal(パスカル)世代。処理速度を大きく左右するCUDAコア数(処理ユニット数)は3584基と、TITAN Xと同等。1080無印は2560基のため、大幅な増加となりました。

発熱と消費電力の目安となる値「TDP」は250W。これはTITAN Xと同じで、1080の180Wより大きめです。PCI Express電源端子は8ピン+6ピン仕様。

GPUの動作クロックは基本が1.48GHz、ブースト時(発熱や消費電力に余裕がある状態)では最高1.582GHz。TITAN Xは1.417GHzと1.53GHzなので、若干ながら高い設定です。ただし1080は1.607GHzと1.733GHzなので、こちらからは下がっています。

TITAN Xや1080と比べた際にさらに大きな差は、ビデオメモリの仕様。インターフェイスは352ビット接続で、ビデオメモリ容量は11GB(中途半端に見えますが、1GBのメモリチップを11個搭載します)、動作クロック11GHz相当のGDDR5Xタイプです。

対してTITAN Xのメモリは384ビット接続、動作クロック10GHz相当で容量は12GB。1080は256ビット/10GHz相当/容量8GBという値。
TITAN Xとは総合的な速度はほぼ同じで容量は若干減ですが、1080には全てで上回るという構成です。

性能指標となる単精度の浮動小数点演算性能は約11.3TFLOPS(ブースト時)。TITAN Xは約11TFLOPS、1080は約8.9TFLOPSという値でした。

なお、11GBというメモリ容量に関して、NVIDIA側は「5Kディスプレイと最新の重量級ゲームタイトルを組み合わせた場合でもカバーできる容量」とアピール。発表会では、UBISOFTのアクションゲーム『ウォッチドッグス2』を5K解像度で(そして、おそらく最高画質設定で)プレイした場合でもちょうど収まる容量というデータも提示しています。

Founders Editionカードでは、GPU用クーラーの冷却効率も強化。1080やTITAN Xでも採用された高効率熱輸送ユニット「ベイパーチェンバー」を活用し、空気流量の効率も向上。1080のFounders Editionカードに対して、同程度のファン動作音ならば、GPU温度を5℃下げられると謳います。

こうした空冷性能などにより、NVIDIA側ではブースト時クロック2GHzまでのオーバークロック動作を実証した、とも発表しました。

▲発表会でGTX 1080 Tiを掲げる、NVIDIAのジェンスン・ファン(Jen-Hsun Huang)CEO。一部マニアが気にしていた服装は、今回「も」革ジャンでした

このようにGTX 1080 Tiは、NVIDIAお得意の「自社の最高速カードを上回り、さらに価格は実質上の大幅値下げになる『下克上的GPU』」となっています。実際の仕様も1080から大幅に強化され、TITAN Xにかなり近いレベルとなったため、1080比で135%というNVIDIA側の主張する速度も、ほぼ間違いなさそうに思えます。

GTX 1080の発売は2016年5月ですが、搭載カードはとくにVR環境での高速性などから価格にも関わらず大人気となり、PCパーツショップでは搭載カードが2016年のヒットパーツとして真っ先に名前が挙がるほどの売れ筋となりました。
またVRアプリ開発者の間などでもデファクトスタンダードなGPUとなるなど、価格を考えると異例とも呼べるほどの支持を得たモデル、と呼べるほどの安定した人気でした。

今回のTiも、性能向上率の高さを見るに、こうした人気を受け継ぐだけのモデルとなる資格は十二分にありそうな気配。1080の値下げを含めて、VRアプリを快適に実行できる環境の敷居を下げる動きからも注目したい製品です。