堀北真希 - 写真は2014年に撮影

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 2月28日に芸能界からの電撃引退を表明した女優の堀北真希(28)は、間違いなく2000〜2010年代を代表する最も幅広く活躍した女優の一人だった。2005年に放送されたドラマ「野ブタ。をプロデュース」で当時の中高生のファンを魅了し、映画『白夜行』(2011)でベルリン国際映画祭入りし海外でもサイン攻めに、2012年には朝ドラ「梅ちゃん先生」で老若男女から愛されるヒロインとなった。またアニメ・ゲーム作品への声優出演、番宣でバラエティー番組への出演などもこなしていく彼女には、まさにオールマイティーで唯一無二の魅力があった。

 堀北の映画デビュー作は『COSMIC RESCUE - The Moonlight Generations -』(2003)。V6内の3人組ユニット Coming Century(森田剛、三宅健、岡田准一)が宇宙レスキュー隊を演じる同作で、オーディションに勝ち抜いた堀北は彼らに助けを求めるヒロイン役として出演。その後初ドラマ主演作「ケータイ刑事(デカ) 銭形舞」でダンスなども披露しアイドル的な素質も光らせると、竹野内豊主演のドラマ「人間の証明」(2004)では鹿内孝ふんする大物政治家の娘を演じて、演技派俳優たちに囲まれながらも存在感を発していった。

 そして訪れる2005年で、“女優・堀北真希”の立場は確固たるものになる。夏にドラマ「電車男」(主人公の妹役)、秋に「野ブタ。をプロデュース」(ヒロイン役)、11月に公開された映画『ALWAYS 三丁目の夕日』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞、第84回全国高等学校サッカー選手権大会の初代応援マネージャーに就任し、一気にブレイク。今では若者にとって当たり前となったSNSや動画共有サイトだが当時の普及率は低く、学校での話題はもっぱら前日に放送されたテレビ番組。その時代にテレビをつければ堀北が映るという状況は、彼女を学生たちの憧れのヒロインに仕上げるには十分だった。

 また社会現象にもなった「野ブタ。をプロデュース」は、井上真央主演の「花より男子(だんご)」、沢尻エリカ主演の「1リットルの涙」と同クールに放送された。イケメンに囲まれるヒロインへの抵抗感が薄まり、学生ドラマが盛り上がっていた時期だったことも幸いしつつ、当時16歳で誰もが憧れる女の子になった堀北。だが彼女は忙しい日々を送る中で、さまざまな思いを抱いていたようだ。「わたしにとっては、家族や友だちと話す時間が癒しでもあり、幸福だと思っています。わたしの場合は毎日学校に行けるわけではないので、友だちと会ったり、一緒にご飯を食べたりする時間はすごく貴重なんです」(2007年公開映画『アルゼンチンババア』シネマトゥデイインタビューにて)。

 2009年のイベント時には、結婚観について「好きだったら年の差なんて関係ないです」と率直な意見を述べていた堀北。その言葉通り、2015年8月に俳優の山本耕史と12歳差婚。結婚後山本が明かした交際0日婚などのエピソードでも注目を浴びつつ、女優だけではなく妻としての人生をスタートさせた。そして翌年6月に週刊誌「女性自身」が第1子妊娠をリーク。夫の山本が「私たちの意思に反して、この時期に、そしてあのような形で報道されてしまいました」とファンクラブを通してコメントを出したことは話題になり、12月にはテレビ番組「SmaSTATION!!」内でMCの香取慎吾の口から第1子が出産したことが公表された。

 そして今回表明した芸能界からの引退。堀北は直筆で「現在私は母になり、愛する家族と幸せな日々を送っています。このあたたかで、かけがえのない幸せを全力で守っていきたいと思っています。夫とも話し合い、私の気持ちを尊重してくれました」とのコメントを寄せた。事務所によると今後は「家庭に専念し暮らしていきたい」という。

 『蜩ノ記(ひぐらしのき)』『大奥』などの数々の映画作品にも出演し、声優出演したゲーム作品「レイトン教授」シリーズ(のちにアニメ映画化)では、透き通った少年声でゲーム&アニメファンからも好評を得るなど、マルチな才能を発揮し続けていた堀北。映画『白夜行』(2011)でのシネマトゥデイインタビューでは、「殺したのは、心」というキャッチコピーのように心を殺せるかという質問に対し、「わたしは、殺せますね。この役に徹すると決めていたから、自分の感情はすべて心の下に押し殺して演じていました」と役づくりに対する彼女の真面目さがうかがえる言葉を残していた。ひたむきに頑張り続けてきた堀北の女優人生が終わりを告げる。(編集部・井本早紀)