インタビューに応じた西田敏行&安藤サクラ

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 第40回日本アカデミー賞授賞式が、3月3日に開催される。1978年に岡田真澄&土居まさるの司会で幕を開け、さまざまなドラマを生んできた同賞。40周年の節目を迎える今年、総合司会を務めるのは、4年連続の西田敏行と前年「百円の恋」で最優秀主演女優賞に輝いた安藤サクラだ。2人はどんなトークを繰り広げ、受賞者の感情を引き出すのだろうか。

 西田は第13、19、20回の司会も務めており、通算7度目は関口宏(12度)に次ぐ回数。もはや“お馴染み”とも言えるが、第40回に向け「節目の時にまた、司会という大役を仰せつかった。自分の中でもメモリアルな日本アカデミー賞になります」と表情を引き締める。

 一方で女性司会者は、前年の最優秀主演女優賞受賞者が務めるのが慣例。昨年はスピーチする側だった安藤は、今年は司会席で全体を見渡すことに。マイペースな芸術家肌という印象が強いだけに、「去年の受賞時、祝福の言葉とともに、司会への心配の声も多くかけていただきました」と苦笑しつつ、「なかなかないチャンスなので、自分も楽しめたらいいなと思っています。芝居のことで家族に聞くことはないんですが、司会をすることが多い母から、アドバイスをもらったりもできるかな」と真摯に明かす。西田も「それが一番だと思いますよ。自分が楽しんで、興味をもって司会をなされば、きっと言葉も自然と浮かんできます」と優しくアドバイスを寄せた。

 2016年は日本映画が元気な1年だった。年間興行収入は2355億8000万円となり、00年以降では最高の数字に。実写はもちろんだが、特にアニメの隆盛には目を見張るものがあった。「君の名は。」が邦画歴代2位の大ヒットを飛ばし、クラウドファンディングから始まった「この世界の片隅に」は異例の20億円の大台を突破。さらに「映画 聲の形」が23億円を記録したことも記憶に新しい。

 スタジオジブリや国民的人気シリーズでなくともヒット作を生み出せることを証明した、いわばエポックメイキングな作品群は、多くのクリエイターと観客に活力を与えただろう。西田と安藤もアニメ映画に視線を注ぐが、物語と観客層の相関から“社会の変化”を読み取っている。「戦争や命がテーマの作品に若い観客が足を向けてくれたことは、映画の観客層としていい傾向にある。若い観客が『世の中がうまく動いていない』という危機感を抱いてくれている、目覚めてくれているという実感があります」(西田)、「何かの意識が折り返してきたというか。それをほかでもない劇場で感じられることが、すごく特別な経験で、ものすごく感動したんです。映画館にいる皆さんと時間を共有したことで、自分の意識も変わる。それはやっぱり、映画だからできることです」(安藤)。

 また授賞式は、受賞者や関係者たちの苦労が報われる場所でもある。それだけに例年、見る者の胸を熱くさせる瞬間に出くわす。「今回、期待すること」を聞くと、西田は穏やかな笑みを湛えながらこう語った。「この間、大阪で綾野剛くんに会ったんです。『第40回の優秀主演男優賞、受賞しました!』とガッツポーズしていました。彼の純粋に喜んでいる様子を見たら、日本アカデミー賞は良いものだなと思ったんです。素直に受賞の喜びを表現してくれる、そんな方に最優秀がもたらされたらいいですね」

 昨年は驚きのあまり「じわじわ心臓が出てきちゃいそう」と発言するなど、“メイクドラマ”の主役だった安藤が期待することは? 「あの会場だけでなく、映画を見てくださった人々がテレビの前で受賞の瞬間を見て、すごく感動してくれていました。私以上に驚いてくださっていたり、そういった反応を拝見すると、映画を見てくれた人と喜びを分かちあうということは、すごく素敵なことだなと思いました。どの作品も皆で喜びあえると思いますし、会場以外のドラマを想像するのも、とても楽しみです」

 そして西田は、芸術一家で生まれ育った安藤とタッグを組むことに、万感の思いがあるようだ。「時の移ろいはすごいなあと。(安藤の父)奥田瑛二さんは、彼が結婚前から俳優仲間として存じ上げております。これまでの時間を一緒に共有したという点で、老いるというのは決して悪いことじゃない」。これには安藤も「西田さんと、40年間の素晴らしいラインナップを見ながらお話し出来ているのも、ものすごいこと」とかみ締めるように話し、西田は「生きていなきゃ味わえないこと。やっぱり健康は大事ですね」と応じた。授賞式本番では、味わい深いコンビネーションが見られそうだ。