韓国にやって来た脱北者の数は、2016年末時点で3万208人に達した。しかし、韓国の現状に絶望し、再び北朝鮮に戻ろうとする人が相次いでいる。韓国の聯合ニュースは、北朝鮮に戻ろうとして逮捕された脱北者に、執行猶予の判決が下されたと報じた。

脱北者のA被告は2014年、中朝国境を流れる豆満江を渡って脱北し、中国、ラオス、タイを経て韓国にやってきた。

自由と豊かさを求めてやって来たはずの韓国だったが、A氏を待ち構えていたのは貧困と差別だった。建設現場の日雇い労働で糊口をしのぐ日々を送っていた彼は、ブローカーに脱北費用を払えず、裁判沙汰となる。

絶望したA氏は、北朝鮮に戻ることを決心し、1400万ウォン(約137万円)の渡航費を調達した。しかし北朝鮮へ渡ろうとしていることが発覚し国家保安法違反で逮捕、起訴された。

蔚山の地方裁判所は「A被告は韓国の存立、安全、自由民主的な基本秩序を危うくすると知りつつも、北朝鮮への脱出を準備した」と指摘する一方で「反省していて、韓国で懸命に生きると誓っており、資金調達に過ぎない点や貧困で韓国生活に適応できなかった点は情状酌量の余地がある」として、懲役1年、執行猶予2年の判決を下した。

検察は「量刑が軽すぎる」として、控訴したが棄却された。

統一省関係者によると、一度脱北して韓国にやって来たものの、「再入北」、つまり北朝鮮に戻った人の数は、わかっただけで昨年3人、累計では19人に達する。

その原因は、韓国での差別、偏見、貧困だ。統一省の調べによると、自らを貧困層と考える脱北者は73.2%に達する。また、統一省と南北ハナ財団が脱北者1万2777人を対象に行なった実態調査では、全体の25.3%が「差別を受けた経験がある」と答えている。

現在、韓国の公益公告協議会(ACジャパンにあたる団体)は、「脱北者の認識改善」と題した公共広告を放送している。医師、教師、NGOの職員となった脱北者を登場させ、施される側から施す側になりつつあることを強調するものだ。これは、韓国人の脱北者に対する認識が決していいとはいえず、社会統合が順調に進んでいないことを示すものだと言えよう。