中国人観光客の増加に伴い、日本では中国語の注意書きや看板が目に付くようになった。一方で、中国語の翻訳が間違っていると指摘する声も聞かれている。写真は黄氏提供。

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中国人観光客の増加に伴い、日本では中国語の注意書きや看板が目に付くようになった。一方で、中国語の翻訳が間違っていると指摘する声も聞かれている。

在日中国人作家の黄文葦氏は2月17日に、神田駅で撮影した写真を投稿し、中国語がおかしいと指摘した。写真には電柱にくくりつけられた張り紙が映っており、中国語で「ごみの不法投棄は犯罪であり、付近には監視カメラが設置してある」と書かれているが、確かに中国語の文法や使い方が不自然でネイティブな翻訳でないことが分かる。この張り紙に黄氏は「正しい中国語を使ってほしい。ボランティアで修正してあげたい」と書き込んだ。

実は似たような指摘は数多く聞かれており、普段から日本の街中で気になった中国語翻訳を電子掲示板(BBS)に投稿している在日中国人の李さんに話を聞いた。

李さんは来日20年で都内の日本企業に勤める女性。2020年の東京五輪まで中国人観光客の訪日熱は冷めないと思われ、東京五輪を応援する目的で昨年から日本の街中で見かけた間違った中国語の看板や表記をBBSに投稿し、正しい中国語に訂正している。

李さんの投稿は観光地の看板から店内の表記などさまざまで、京都の観光地では、「トイレをきれいにご使用下さい」の中国語が「漂亮地請使用厠所」と書かれていたという。これを彼女は「請保持衛生間的清潔」と訂正した。さらに、「恐れ入りますが、となりのレジをご利用下さい」という中国語訳を「對不起、請利用隔壁的収款員」と記載した店があり、「収款員」はレジスタッフという意味のため明らかな誤訳。李さんは「對不起、請利用其他収銀台」と訂正した。

こうしたミスは日本の空の玄関口成田空港でも見られており、「あなたの荷物、大丈夫?」と注意喚起の看板の中国語訳では「注意[イ尓(あなた)]的行李」と書かれていたという。文法的に問題はないものの、丁寧さが足りないとして「請注意●的随身物品(●=[イ尓]の下に心、[イ尓]の敬称)」と訂正した。李さんはこうした誤訳は翻訳者のレベルが低いことや、中国語がわからない人が翻訳ソフトを使ったために起きると指摘している。

自身の東京五輪応援活動について李さんは、「日本の観光の一番の売りは『おもてなし』だと思う。空港の看板では敬語を使うべきで、そうした表記がないと中国人は驚くだろう。こうした翻訳のミスは観光客を不快にさせ、おもてなしを重視する日本の観光業界にとってはもったいないミスと言える。日本には華人・華僑が80万人住んでいると言われている。こうしたネットワークを利用すれば簡単に正しい中国語の看板を作成することができるはずだ。場所によっては中国人が少ないところもあるかもしれない。そうした困っている人を少しでも助けたいと考えている。私が利用しているBBSに投稿してくれれば可能な限り手助けしたいと思っている。日本に訪れる外国人にとって日本の環境がもっと便利になってくれると私もうれしい」と語った。(取材・編集/内山)