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近年、地方に根ざした小規模チェーンが高い評価を得るケースが相次いでいる。こうした"進化系ビジネスホテル"は、西日本へ偏差していることが分かる。今回は、そんな好感度の高い西日本の進化系ホテルを紹介しよう。

○大手を研究し尽くした地元ホテルたち

大手チェーンの進出で地方ホテルは凋落の一途というイメージであったが、一転、大手チェーンから"鞍替え"するゲスト続出の小規模チェーンが増加している。そのようなホテルを利用してみると、大手チェーンを徹底研究した上で、大手チェーンに足りないこと、大手にはできない独自のコンセプトを打ち出していることが分かる。

これらのホテルは、従来のビジネスホテルスタンダードから進化した"進化系ビジネスホテル"とも表現できる。こうした進化系ビジネスホテルは、東京都心部では条件的に難しいトライが地方では可能なことはもちろん、西日本の観光スポットや交通網の充実度を始め、地方に根ざした経営者・運営会社の勢いも西日本では顕著である。では実際、どのようなホテルが勢いを得ているのか、一つひとつ紹介しよう。

○九州を席巻する「ホテルフォルツァ」が拡大中

2017年の"新顔"として注目されているのが、2月11日に開業した「ホテルフォルツァ博多駅博多口」だ。ホテルフォルツァは福岡、大分、長崎と九州地区で展開するハイクラスビジネスホテルブランド。インテリアはもちろん、調度品やアメニティなど、一つひとつ選び抜かれた高いクオリティを誇る。

「福岡へ行ったらホテルフォルツァ」というファンも多く、筑紫口は常に高稼働であるため、博多口へは待ちに待った出店と言えるだろう。博多口で特筆すべきは朝食のクオリティ。シティホテルでは定番の実演コーナーが、ハイクラスとは言え、ビジネスホテルで見られるのは特筆すべき点だろう。

博多口開業に続き、2017年8月には筑紫口で既存棟1階部分が接続された新棟が開業。既存棟170室と新棟65室を合わせ計235室のホテルにパワーアップする。大分、長崎もファンから高い支持を受けるリピーター率高きチェーンだ。そして、2019年春には「ホテルフォルツァ札幌駅前(仮称)」、2019年夏に「ホテルフォルツァ大阪北浜(仮称)」と、九州を越えての開業が予定されいている。

○驚異的な人気を誇る「ホテルアクティブ! 」

ホテルフォルツァはハイクラスブランドと解説したが、同じく福岡で大人気の「ホテルアクティブ! 博多」はローコストホテル。もちろん、他のホテルと同様に料金変動はあるが、概ね利用しやすい料金体系を保っている。とは言え、徹底した利用者目線によるサービスや、惜しみない客室価値の向上でますます人気は沸騰だ。実際利用すると、洗練されたデザインはもちろん、ベッドのクオリティやデスク周りの使いやすさなど徹底研究されていることがよく分かる。

そして、朝食も必食。ビジネスホテルではハイクラス型が別途料金の発生する有料朝食だが、ローコスト型は別途料金負担のない宿泊者全員へ提供する無料朝食を採用する傾向がある。無料だけに簡易的な内容というケースも多いが、ホテルアクティブ! は有料朝食と見間違えるほどの内容で、他店と差別化を図っている。

ホテルアクティブ! はもともと、山口市に本店を置き、広島へも進出するなど、中国地方に基盤を置く人気チェーンとして知られていた。そして、大人気を博し遂に福岡へ"越境"。全国区の知名度を誇る人気ホテルへ飛躍しつつある。

○まだまだある西日本で注目のチェーン

出雲、鳥取、豊岡といった山陰地方の主要都市へ出店する「グリーンホテルモーリス」も感動的だ。ローコスト型にしてシティホテルクラス並の客室面積、クオリティの高いベッドと、滞在に主眼の置かれた客室は快適だ。全店に充実設備の大浴場を配し癒やしのホテルライフを提案する。朝食は税別524円の別途料金であるが、バラエティに富んだメニュー、会場の導線への気づかいなど納得のクオリティ。広島地区へも出店している。

西日本全体という規模で俯瞰すると、中規模チェーンとして注目なのが「グリーンリッチホテルズ」だ。九州地方を中心に、中国地方や山陰地方、大阪、最東端では京都に出店している。客室のスタイリッシュさ、地域に根ざしたコンセプトの落とし込みは秀逸。快適なデスクワークを実現した客室も多い。大浴場を設けた店舗もあり、納得と充実のホテルライフが過ごせることだろう。

西日本で人気のホテルチェーンを紹介してきたが、注目のチェーンはまだまだある。東海・北陸地方も含めれば、愛知に基盤を置く「ABホテル」、北陸地方で圧倒的な人気の「マンテンホテル」にも注目だ。ABホテルは関東地方への出店も果たし、目下拡大中ときている。

また、単独店舗の独立系でも注目すべきビジネスホテルは多い。まだまだ勢いの止まらない西日本の進化系ビジネスホテル。東日本への進出、果てやハードル高き東京への"下克上"が果たせるのかにも注目だ。いずれにせよ、高品質の利用者目線ホテルが増えていくことを願ってやまない。

○筆者プロフィール: 瀧澤 信秋(たきざわ のぶあき)

ホテル評論家、旅行作家。オールアバウト公式ホテルガイド、ホテル情報専門メディアホテラーズ編集長、日本旅行作家協会正会員。ホテル評論家として宿泊者・利用者の立場から徹底した現場取材によりホテルや旅館を評論し、ホテルや旅に関するエッセイなども多数発表。テレビやラジオへの出演や雑誌などへの寄稿・連載など多数手がけている。2014年は365日365泊、全て異なるホテルを利用するという企画も実践。著書に『365日365ホテル 上』(マガジンハウス)、『ホテルに騙されるな! プロが教える絶対失敗しない選び方』(光文社新書)などがある。

「ホテル評論家 瀧澤信秋 オフィシャルサイト」

(瀧澤信秋)