北朝鮮の金正男氏が、猛毒の神経作用剤VXで殺害されたというマレーシア警察の発表を受けて、化学兵器の禁止と拡散防止のための国際機関が懸念を示し、調査に乗り出す用意があることを明らかにした。

化学兵器禁止機関(OPCW)は27日、報道官名義の声明を発表。声明は「マレーシア当局は、神経作用剤であるVXが13日、空港で起きた殺人事件に使われたと結論づけた」「化学兵器の使用は、深刻に懸念される状況で、OPCWは、専門家の派遣と技術協力を通じて(調査に)協力する用意ができている」と明らかにした。

1997年に発効した化学兵器禁止条約に基づき設立されたOPCWが、条約に加盟はおろか、署名すらしていない北朝鮮に関連する問題で声明を出すのは異例のことだ。

OPCWは、北朝鮮への言及を避けつつも、マレーシア当局の協力要請があれば積極的に協力するという立場を明確に示したものだけに、調査結果によっては北朝鮮の立場がさらに危うくなると思われる。

OPCWが、北朝鮮当局が金正男氏の殺害に、国際的に製造、保有、使用が禁止されたVXを使っていたと結論付けたとすれば、国際社会の北朝鮮に対する圧力は今以上に強まるからだ。

マレーシアのスブラマニアム保健相は25日、金正男氏の遺体に対する司法解剖の結果、殺害に使用されたVXが、致死量の10グラムを遥かに超える量だったために、心臓や肺など全身に毒が広がり、非常に苦しみながら、15分から20分で死亡したと述べた。

VXは、サリンの100倍以上毒性が強く、国連安保理決議687号で大量破壊兵器に指定されている。 韓国国防省は2014年、北朝鮮がマスタードガス、サリンなどの化学兵器を2500トンから5000トン所有していると明らかにしている。