(写真提供=SPORTS KOREA)キム・テギュン

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故障やメジャーの球団などとの関係で辞退者が相次ぎ、「史上最弱」という評価もされているWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の韓国代表であるが、開幕を前に、沖縄での巨人との練習試合では大敗したものの、ソウルに戻ってからは、キューバとの2試合や、オーストラリア戦に連勝するなど、徐々にエンジンがかかってきた。

投手陣では、昨年15勝の左腕チャン・ウォンジュン(張元準=斗山)が、巨人との練習試合で3回をパーフェクトに抑えたのに続き、キューバとの初戦でも4回を無失点に抑えるなど、調子のいいこところをみせているが、韓国プロ野球の打高投低現象を反映して、投手陣は全体的には、威圧感に欠けるのも確かだ。

一方で打撃は、パク・ビョンホ(朴炳鎬=ツインズ)、キム・ヒョンス(金賢洙=オリオールズ)、カン・ジョンホ(姜正浩=パイレーツ)などのメジャーリーガーは出場しないものの、イ・デホ(李大浩=ロッテ)、キム・テギュン(金泰均=ハンファ)、チェ・ヒョンウ(崔炯宇(=KIA)ら、体重が100祖教蕕梁納圓並ぶ打線は強力だ。

(参考記事:小久保ジャパンに同情論も!? 韓国メディアはWBC日本代表メンバーをどう見ているのか)

ただし、彼らをどう使うかは、悩ましい。

今のところ、3番キム・テギュン、4番チェ・ヒョンウ、5番イ・デホという打順が多いようで、キム・テギュンが主に一塁手、イ・デホが指名打者、チェ・ヒョンウが左翼手という使い方が多い。

チェ・ヒョンウは昨年、打率、打点、最多安打のタイトルを獲得しており、イ・デホがいなかった昨年の韓国プロ野球では最強の打者であった。しかし、体重100舛鯆兇┐覽雋舛鮃佑┐襪函△任ることなら指名打者で使いたいのが本音だろう。巨人との練習試合では、簡単な打球の処理を誤って、失点を許している。

それでも、一塁手であるイ・デホとキム・テギュンを同時に使おうと思えば、チェ・ヒョンウは外野を守るしかない。2009年の第2回WBCで活躍し、千葉ロッテでもプレーしたキム・テギュンは昨年、打率、打点、安打数の全てで、チェ・ヒョンウに次ぐ2位となっており、巨体の割に柔軟な打撃は健在だ。

さらに通常、試合の終盤になれば、チェ・ヒョンウは守備のいい選手と交代ということになるが、それも場合によっては簡単でない。韓国代表は捕手を2人しか入れていない。そのため、どちらかの捕手が負傷などで出場できなくなると、ピンチになる。

チェ・ヒョンウは捕手としてプロに入っており、緊急事態の時は、崔が捕手になる。したがって、安易に交代させられない選手なのだ。

また、中軸が重量級であるために、そこで走者を一掃しておかないと、下位の攻撃はやりにくくなる。彼らは、単打1本で二塁から生還というのは難しいからだ。

巨人との練習試合では、韓国では珍しい、バットを短く持って、野手の間を抜くような打撃で3年前にシーズン200本安打を達成したソ・ゴンチャン(徐建昌=ネクセン)を7番に置いていたが、その上位の打者が走れないと、彼の良さは出ない。このところの練習試合では、徐は1番か2番を打ち、打線につながりが出てきた。

野球の代表チームの試合では、好打者が揃っているので、投手の状態が悪いと大量点が入ることもあるが、一般的には投手優位である。特に球数制限のあるWBCの場合、投球に打者の目が慣れる前に投手が代わることが多いので、なかなか点は入りづらい。

それでも点を入れるには、コツコツと塁を進めるスモールベースボールでいくか、一発長打に期待するしかない。

韓国の場合、イ・ヨンギュ(李容圭=ハンファ)、ソ・ゴンチャンらがかき回して、キム・テギュン、チェ・ヒョンウ、イ・デホの一発で還すという攻撃パターンを目指すことになる。

第2回WBCでは、決勝戦も含め日本と韓国は5回も対戦した。この大会で日本を苦しめた投手のポン・ジュングン(奉重根=LG)や捕手のパク・キョンワン(朴勍完=現SKコーチ)らに、日本の打者で誰と対戦するのが最も嫌だったかを聞くと、口を揃えて村田修一(当時横浜、現巨人)と答えた。

バッテリーにとって最も怖いのは、一発長打のある打者であり、その意味では、キム・テギュン、チェ・ヒョンウ、イ・デホと並ぶ重量打線は相手にとって脅威であることは間違いない。その一方で、守りの面や、攻撃の柔軟性を犠牲にしているのも確かだ。重量打線をどう生かすかは、勝負の重要なポイントになる。
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メジャーリーグでは、敬遠の意思を示せば、実際に投げなくても歩かせることができるというルール変更が行われることが報じられ、議論を呼んでいる。試合時間の短縮が目的だという。

戦時中、日本の職業野球では、試合時間短縮のため、この申告制ルールが採用されていた。戦時中の職業野球では、1時間数十分という試合はざらにあるが、これは敬遠申告制の効果だけではないだろう。

戦時中の職業野球では、朝鮮半島出身の人も多くプレーしていた。解放後祖国に戻った選手が、投手として試合に出た時、一塁にどうぞと、敬遠の意思を示すと、「ここは日本ではない」と、言い争いになったことがあると、今は亡き、韓国野球の長老が話してくれたことがある。敬遠の申告制と聞いて、この話を思い出した。

今の野球は、試合時間がやたらに長いのは確か。しかし、短縮すべき箇所は、他にあるのではないか。

(文=大島 裕史)