「株式会社ソラスト」HPより

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まいど、「相場の福の神」ことSBI証券シニアマーケットアナリストの藤本誠之(ふじもと のぶゆき)です。藤本は、現在ほぼ1日に1社のペースで、上場企業の経営者やIR(投資家向け広報)の担当者との個別面談を行っています。延べ年間200社以上と個別面談を行っていると、業績が成長し、安定的に利益を出し、株価が堅調な企業には、さまざまな要因があることが判ります。その中でも重要な要因に「人材活用術」があります。企業は、そこで働く経営者・役員・従業員が、それぞれの責務を果たすことによって成り立っています。いかに優秀な経営者であったとしても、一人で会社を動かすことはできません。そこに集う人材によって、会社は大きく成長していくからです。この連載では、藤本が会ったさまざまな成長企業の経営者から、その企業の概要や今後について聞き、人材活用術について語っていただいた内容をご紹介いたします。

■医療事務がメインビジネス

第6回は、医療事務・介護・保育事業を行っているソラスト(6197 東証1部)です。ソラストは東京都港区港南に本社があります。医療事務を中心とした医療機関からの業務請負・人材派遣が主力の企業です。在宅サービスを中心とした介護事業や保育事業も展開しています。石川 泰彦社長に人材活用法を聞いた。

――ビジネスの概要を説明してください。

当社の前身である日本医療事務センターは、1965年に日本初の医療事務教育機関として創業しました。その後、診療報酬請求事務をはじめ、医療機関の受付、会計などの医療事務全般の受託へと業務範囲を拡大。1999年に介護、2002年に保育分野へ事業領域を拡大してきました。今日では、全国で約2万5000人の社員(約90%が女性)が医療事務、介護、保育の仕事に携わっています。

医療機関を支える「医療事務」、お年寄り一人ひとりのニーズに合ったきめ細やかな「介護サービス」、お子様が自宅にいるような安心感の「保育サービス」、さらに、これらに携わるすべての方々のスキルアップやキャリア支援に全力で取り組んでいます。

■データ分析を活用した人材採用システム

――特徴、強みは何ですか

地域の女性人材を活用した医療事務・介護サービスのパイオニアであることです。1500社以上の医療機関と取引を行っており、全国展開しています。介護では、233カ所の介護事業施設を通じて、事業を展開しています。現在、2万5000人を超える社員がおり、女性比率は約9割となっています。この業界は、離職率が非常に高く、年間6000人以上の採用を行っています。この採用人数の多さが事業を支える強みとなっています。

医療事務に関する事業は、安定性と収益性を兼ね備えた収益基盤となっています。医療機関には、強い外注ニーズがあります。診療報酬請求業務には高い専門性があり、煩雑な人材採用・人材育成を行う必要があります。

また、参入障壁が高いのも特徴です。病院組織は特殊なので、病院間の連絡はほぼなく、ゆえに、一度受託した事業はほぼ継続して受託できるのです。人材派遣会社が参入したのですが、業界的に年収が低いので応募者が少なく、医療事務で大きなビジネスをしている人材派遣会社はないようです。

当社は、約25%の業界シェアで2位となっており、1位は約55%のシェアがあります。2社で約8割のシェアを持っており、安定的な構造となっています。

まだ、医療関連サービスの委託率の中で、医療事務は4割もなく低いほうで、今後委託率の上昇も期待出来そうです。

――人材活用術について教えてください。

当社は年間6000人以上を採用しており、「人材採用力」が強みです。2014年に設置したキャリアセンターが全社の人材採用と人材育成をリードし、女性の活躍を支援しています。今後はAI(人工知能)の活用などによって、採用のしくみをさらに高度なものにして、「人材採用力」とキャリア支援を強化してまいります。

昨年11月に、「高度なデータ分析を活用した人材採用システムを医療事務分野で初めて導入 〜日本 IBM 及びゼクウと協力してシステムを構築〜」を発表しました。これは、応募者が WEB上で適性診断を受験することで、その人のパーソナリティが導き出されます。それを、ソラスト独自の人材モデルに照合し、応募者の業務適正をリアルタイムで予測し、即時に採用担当者へフィードバックします。これによって、採用担当者は客観的なデータに基づく採用判断が可能になり、適材の採用や短期離職の削減につながります。 また、本システムでは、ソラストの応募者のデータを継続的に分析することにより、さらに 予測の精度を向上させていきます。

■売上高に占める人件費率が約83%

人材採用は、これまで属人的なプロセスで行われ、また人材に係るデータの蓄積も十分ではなかったため、 採用ノウハウの改善には限界がありました。今回、本システムを導入することで、属人的なプロセスから脱し、データに基づく客観的な判断や人材選定ノウハウの継続的な改善が可能になります。

ソラストは今後もICTやAIを積極的に活用し、属人的で生産性が低いと言われる日本の サービス産業において、「ICT+人」で業務プロセス及びサービスプロセスを変革することで、生産性の飛躍的な向上を目指し、より質の高いサービスを提供してまいります。

当社は、売上高に占める人件費率が約83%と、全産業の中でも圧倒的に人件費率が高く、最も大きなコストとなっているのです。しかし、社員自体が収益を生み出してくれる資産なのです。だからこそ、会社の大切な資産である社員のモチベーションを上げることが、利益を上げる最善策となるのです。社員とのコミュニケーションを図るため、社員向けメールマガジン、社員専用サイト、コミュニケーションカードなどの施策を行っています。また、処遇改善にも注力しており、「日本一」の保育士給与としており、現場リーダーへの年収10%UPをはかり、時短正社員、「全員参加」の持ち株会などを行っています。

具体的には、リーダーを教育することによって、会社の取り組みを徹底し、組織のパフォーマンスを向上させています。実際に広島支社では、リーダーの施策により、支社利益率はUPしていますが、社員の給与は6.2%も増加させています。具体的に行ったのは、コミュニケーションの徹底で、社員メールマガジンや社員専用サイトの登録率を100%にUPさせたのです。

▼「相場の福の神」人材戦略のココに注目!

今まで、人材に関しては、さまざまなノウハウがあったとしても属人的なノウハウとなっており、人事異動で担当者が変われば、そのノウハウが失われてしまいます。しかし、高度なデータ分析を活用した人材採用システムでは、ビッグデータが貯まることにより精緻な分析が可能となります。ICTやAIを積極的に活用し、属人的で生産性が低いと言われる日本の サービス産業において、「ICT+人」で業務プロセス及びサービスプロセスを変革することができるソラストは、今後大きな成長が期待出来そうです。

(SBI証券シニアマーケットアナリスト 藤本誠之=文)