第10回全農日本ミックスダブルスカーリング選手権(3月1日〜5日)が、北海道北見市の『アドヴィックス常呂カーリングホール』で開催される。

 4人制に比べて認知度は低かったが、2018年平昌五輪(韓国)から正式種目として採用されることとなり、ソルトレーク、トリノ、ソチと3度の五輪出場経験を持つ北海道銀行フォルティウスの小笠原歩をはじめ、国内のトップカーラーが続々と参加を表明。日本協会は強化委員会の推薦枠を新設し、各地区代表などの他に、4人制で活躍する小笠原ら3ペアが新種目での五輪出場を目指せる体制を作った。

 強化委員会推薦ペアは以下のとおり。所属は男子がいずれも札幌4REAL、女子が北海道銀行だ。

◆チーム阿部(阿部晋也&小笠原歩ペア)
◆チーム松村(松村雄太&吉村紗也香ペア)
◆チーム谷田(谷田康真&小野寺佳歩ペア)


ミックスダブルスで平昌五輪出場を目指す小笠原歩 今回の日本選手権には、この3ペアをはじめ、前年度優勝、準優勝ペア、そして各地区代表の計16チームが出場。まずは2つのグループに分かれて8チームによるリーグ戦を行ない、各グループ上位2チームが決勝トーナメントに進出して頂点を争う。

 ミックスダブルスでは、ゲームは8エンドから成るが、得点方法は通常の4人制と変わらない。ただし、エンドのスタートや両チームが投げるストーンの数などは、独特のルールがある。

 ゲームはエンドごとに、ガードの位置とハウス内に(敵味方どちらか)ひとつずつストーンがある状態で始まる。

 両チームに与えられるストーンは、それぞれ5個。最初のストーンを投げる選手は、同エンドの最後のストーンも担当する。つまり、もう一方の選手は2〜4投目の3個のストーンを投げることになる。

 その戦いの中では、4人制よりもストーンの数、スイーパーの数が少ない分、正確なデリバリー技術が求められる。そのうえで、円滑なコミュニケーションや、適切なショットセレクションが、勝敗の行方を左右する。ひとつのミスが失点に直結しやすい、非常にシビアなゲームであることも大きな特徴だ。

 今大会で最も注目されるのは、やはり強化委員会推薦の阿部&小笠原ペアだろう。経験、実績ともに申し分なく、デリバリーの精度や戦術面でのアドバンテージは大きい。

 また、阿部と小笠原は同郷で、小笠原がひと学年上の同世代。ふたりとも同じ時期にカーリングを始め、2006年、「チーム青森」の一員として小笠原がトリノ五輪に出場した際には、阿部がコーチとして帯同している。今でも家族ぐるみの付き合いがあって、お互いのことを知り尽くしているだけに、ミックスダブルスにおいて重要なコミュニケーションの部分でも問題はない。

 不安な点があるとすれば、スイープの持久力だろうか。両選手ともここ数年は、所属チームでスキップとしてのみプレー。ゲーム中、継続的にスイープを担うことはなかった。8エンドゲームではあるものの、若いペアを相手にして、決勝まで進めば9試合を戦わなければならない。それを戦い切るスタミナがあるかどうかがポイントとなりそうだ。

「戦術に慣れながら、勝負どころを見極めてしっかり勝ち切りたい」

 大会に向けて、そう語った阿部&小笠原ペア。初戦の相手は、北海道大学チーム。初勝利を目指しつつ、五輪の代表権獲得のためには、大会を乗り切っていくだけのペース配分も見極めていきたいところだろう。

 この阿部&小笠原ペアとは対照的なのが、谷田&小野寺ペアだ。それぞれ所属ではリード、セカンドを務めるスイーパーで、間違いなく大会ナンバー1のスイープ力を持つ。多少ショットが短かったり、あまり曲がらないラインだったりしても、力技でストーンを置きたい場所に運べるという特長を秘める。

「あとは、戦術面を詰めていけば(五輪代表の座も)狙えると思う」と、谷田は初のチャレンジにもかなりの自信をのぞかせる。

 また、小野寺は父・亮二さん(現ロコ・ソラーレ北見コーチ)とペアを組んで第1回大会(2007年)に出場。3位入賞を果たした実績がある。さらに、昨季のコンチネンタルカップ(アメリカ・ラスベガス)でも、先の冬季アジア大会(2月19日〜26日/札幌)のカーリング男子で金メダルを獲得した中国のバ・デュシンと組んでプレー。ミックスダブルスの経験がそれなりに豊富で、その点も大きな強みになる。

 前述の阿部&小笠原ペア、そして谷田&小野寺ペアのちょうど中間的なタイプで、絶妙なバランスを持つのが、松村&吉村ペアだ。

 過去5年間で、松村はセカンド以外、吉村はリード以外、それぞれすべてのポジションを経験してきた。ゆえに、ガードストーンがある状態から始まる試合であっても何ら違和感はなく、その変化に富んだシチュエーションでのショットセレクトの幅も広く持ち合わせている。しかも、ショット、戦術、スイープとも、高いレベルでバランスが取れている好ペアだ。

 このペアに対する周囲の評価も高く、松村自身、「総合力と柔軟性で勝負できると思う」と、大会への意気込みを力強く語った。

 強化委員会推薦枠の他では、前年度王者の蒔苗匠馬(まかなえ・たくま)と荒木絵理がペアを組むチーム札幌(※前回は北海道大学として出場)が、やはり有力視される。

 昨年4月に開催された世界選手権(スウェーデン・カールスタッド)にも出場した経験を生かし、”本職”としての矜持(きょうじ)を示すことができるのか注目だ。

 ソチ五輪に北海道銀行のメンバーとして出場した苫米地(とまべち)美智子が、夫・賢司とペアを組むチーム岩手の下馬評も高い。昨年こそ、予選リーグ敗退に終わっているが、一昨年は優勝を果たしている。

 さらに遡(さかのぼ)れば、第4回、第5回大会と連覇を達成。ふたりが結婚する前の、記念すべき第1回大会でも頂点に立っている。過去9大会で、優勝4回、準優勝1回、3位1回と、その実績は断トツ。小笠原が4人制のパイオニアなら、苫米地ペアはミックスダブルスのそれだろう。

 選手間でも、「いちばん怖いのは、岩手では」と最も警戒されているという苫米地ペア。5度目の金メダルとともに、五輪代表への挑戦権獲得へ、例年以上に気合いが入っているはずだ。

 さて、ミックスダブルスの平昌五輪出場枠は、8カ国。4人制と同じく、五輪から逆算して直近の世界選手権2大会(2016年、2017年)の結果に応じて振り分けられるオリンピックポイントの合計によって、開催国の韓国を除く上位7カ国に出場権が与えられる。

 2016年の世界選手権は、前述したとおり蒔苗&荒木ペアが出場。惜しくもグループリーグで敗退し、現在日本はオリンピックポイントを保持していない。上位7カ国までに入るには、4月にカナダ・レスブリッジで開催される2017年大会で表彰台以上の結果が求められると言われている。

 非常に厳しい条件となるが、五輪出場権を得られた場合、国内の代表選考に関しては、前回覇者の蒔苗&荒木ペアが今回の日本選手権で連覇を果たせば、そこで同ペアが日本代表に内定。それ以外のペアが優勝した場合、そのチームと、時苗&荒木ペア、昨年の準優勝チームであるチーム青木(青木豪&藤井春香ペア)、さらに今回の準優勝チームと、最大4チームによる代表決定戦(北海道)が9月に行なわれる予定だ。

 平昌五輪で新種目となる歴史的なゲームに挑めるチームはどこか。その第一歩を刻む、日本一決定戦がいよいよ始まる。

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