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2016年12月16日に公開された映画「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」では、宇宙空間でのドッグファイトや地上での戦闘シーンなどで多数のVFXが使用され、2017年の第89回アカデミー賞VFX部門(視覚効果賞)にノミネートされました。同作品のVFXを担当したのはルーカスフィルムが所有するIndustrial Light & Magic(ILM)なのですが、イギリスの放送局BBCの取材により撮影でVR技術が使われていたことが明らかになっています。

Rogue One: Visual effects revealed - BBC Click - YouTube

VFXチームの責任者であるスティーブ・エリス氏によると、ギャレス・エドワーズ監督はカメラを手にして自分でセットを歩き回り撮影のプランを練るタイプの監督とのことで、撮影では現実感を演出するために実際に作ったセットや小道具が多数使用されています。



CGが使用されているシーンでは実際にギャレス・エドワーズ監督が歩き回ることは不可能ですが、VFXチームはVRを使ってこの問題を乗り越えました。



VFXチームが作ったのは、iPadとVRヘッドセットのHTC Viveのコントローラーを組み合わせたリアルタイムVRシステム「VCam Renderer」です。



例えば、デススターの前をスター・デストロイヤーが通過するシーン。このシーンは巨大なスター・デストロイヤーの背後から、さらに巨大なデススターが登場し、見ている人はデススターの圧倒的な恐怖を感じたはず。



VFXチームは、このシーンをまずは3DCGで制作しそれをVRに落とし込みました。ギャレス・エドワーズ監督はVRの中を縦横無尽に動き回り、どこから撮影するか、どのアングルにするか、撮影の始まりと終わりをどこにするかなど、撮影のプランニングを決めたとのこと。



画像のようにiPadを上下左右に動かすと、さまざまなアングルからシーンを確認できるというわけです。





エリス氏が次に見せてくれたのは、Xウィングがシールドゲートに突っ込んでいくシーン。



このシーンでもギャレス・エドワーズ監督はiPadを動かしながら撮影プランを決めていったとのこと。



映画のプリプロダクション段階では、絵コンテを使ってどのようなシーンになるかをスタッフや役者などが共有します。しかし、昨今はCGを多用する映画が増え、CGが加わることでどのようなシーンになるかを絵コンテだけで判断するのは難しくなりました。そこで登場したのが、事前に簡単なCGを作成してイメージを共有するアニマティックで、ローグ・ワンのVCam Rendererもアニマティックの一種になります。



過去にはピーター・ジャクソン監督がARを使ってアニマティックを作ったことがありますが、VCam RendererがすごいのはiPadとHTC Viveという既存の製品を使ってつくられたということ。ディズニーは実写版リメイクの「ライオンキング」を制作中であり、ジョン・ファヴロー監督は「ライオンキング」の撮影でも、ローグ・ワンで採用されたVCam Rendererと似たようなVR技術を使うことを明らかにしています。

ピーター・ジャクソン監督が「ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間」で使用したアニマティックは以下のムービーから確認可能です。

The Lord of the Rings BTS - 01.12 - Previs Animatic - The Stairs of Khazad-dum - YouTube