8Kスーパーハイビジョンの中継車。リオ五輪でも活躍した

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NHKでは放送機材や設備、システムの開発、改善の成果を披露する展示会「NHK番組技術展」が毎年開かれており、ことしも2月26日〜28日に東京・渋谷のNHK放送センターで実施された。

8Kスーパーハイビジョン中継車内。制作室(左)と機器室(右)

46回目を迎える今回は、34の展示を公開。'16年8月1日より試験放送がスタートした4K、8Kスーパーハイビジョン(SHV)のコンテンツ制作を支える技術や、'20年の東京五輪中継に向けた技術、より高いレベルの防災、減災報道を実現させるための技術などが並んだ。その中の一部を紹介する。

8Kの機材としては、SHVの中継車が登場。これは2台あるうちの1台で、車内には55インチの8Kモニターを搭載している。'16年のリオデジャネイロオリンピックの際には船で搬送され現地で8Kの映像作成に活躍したほか、大相撲の8K中継でも稼働している。そのほか、17.3インチの8K小型液晶モニターが展示され、8K機材の小型化を印象付ける展示も見られた。

また、画面を64分割して過去の番組動画を表示し、その中の見たい番組をタッチすると大きな画面で見ることができる「8K TIME MACHINE」は、超高精細な8Kだからこそ実現可能な技術。自分の生まれた年と戻ってみたい年を入力するだけで、NHKが約70年の間に放送してきた1300本ほどの番組を探索できる。映像データは接続されたパソコンから送出されており、開発担当者は、放送のみならず、情報を映し出すディスプレーとして8Kの利用価値を高めることができればと語る。「8K TIME MACHINE」は、ことしの1月からNHK放送センター内にある「スタジオパーク」で常設展示中だ。

ほか、'20年の東京五輪での実用化をにらんだスポーツ中継技術としては、画面に映る陸上選手の走る速度や歩幅などがリアルタイムで数値化されるシステムや、ゴルフボールなど飛翔体の軌跡を選手のショットと同時に表示できるシステムなどが展示された。

この展示会では毎回特に優れた技術に賞が与えられている。今回最優秀賞を受賞したのは、札幌放送局が開発した「緊急報道サポートナビ」。事件が起こると、複数の報道車両が現場に駆け付けるが、これは現場からどこの基地局へ向けて電波を発射すれば安定した伝送ができるのかや、道路の渋滞状況をGoogle Mapの地図上に表示するというもの。イントラネットに接続できる環境下ならば、ノートパソコンで確認できるため、特殊な端末が必要ない上、局内で確認し現場に指示を送ることができる。また、大都市では高い建物が電波の伝送の障害となることがあるが、Google Earthと連携し、航空写真や3D画像で、現場の環境を局内にいながら確認できる。この技術は、'16年8月に北海道での台風情報報道で威力を発揮するなど、道内の緊急報道ですでに実用化されている。

そのほか、高松放送局が開発した新しいロボットカメラの制御システムは、従来の固定電話回線だけではなくモバイルIP回線での制御を実現。大規模災害が起こり固定電話回線が寸断された場合や、そもそも固定電話回線が敷設されていない場所でも、この技術を活用するとロボットカメラを制御し、最新の情報を視聴者に届けることができる。現在、香川県下の4台のロボットカメラで活用している。

NHKでは、全国で勤務する技術者たちが、番組制作の高度化、効率化に日々取り組んでいる。その範囲は多岐にわたり、NHKの技術の奥行きを感じることができる技術展となった。