イザベル・ユペール

写真拡大

 フランスの名女優イザベル・ユペールとミア・ハンセン=ラヴ監督が、新作『未来よ こんにちは』(3月25日 日本公開)について、昨年の10月14日(現地時間)にニューヨーク映画祭で開催された記者会見にて語った。

 教師の夫と2人の子供を持ち、自身も高校で哲学を教えているナタリー(イザベル)は、ある日、夫から離婚を切り出され、支えていた高齢の母親も他界し、さらに長年付き合っていた出版社から契約を打ち切られる。そうして、バカンスシーズン直前に「おひとりさま」になってしまったナタリーは、次第に人生を見つめ直していく。第66回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した。

 今作についてラヴ監督は、「ナタリーの役はイザベルを想定して脚本を書いたの。それが新たな執筆方法にもなった。イザベルと映画を製作するという夢を達成するには、インスピレーションが鍵となった。そのため、(彼女を起用するという)自分自身の欲望を制御しながら、執筆しました。イザベルに決めたのは、彼女を尊敬しているからだけでなく、彼女の持つ権威や知性が、わたしにとって特別で、哲学の教師を演じる信ぴょう性があると思ったから」と裏側を明かした。

 主人公ナタリーについて、イザベルは「彼女は空想に浸ったり、自然や美に関して敏感な女性だけど、物事に対してシニカルな一面も持っている。彼女は何か問題(子供の独立や夫との離婚)が起きるたびに、そうした皮肉屋なところが姿を現すの。それが、家族との距離をより作っていったと思う。彼女はセリフの中で『文化人としての人生は、満足のいくものだった』と語っていて、それは(哲学の教師を)演じるわたしにも嬉しいことで、真実味のある言葉だった。なぜなら、彼女は空想や抽象的な世界にだけ生きているようなキャラクターではなかったから」と語った。

 映画『EDEN/エデン』『あの夏の子供たち』などを手掛けた新鋭・ラヴ監督とのタッグについて、イザベルは「実は、彼女はオリヴィエ・アサイヤス監督の作品『感傷的な運命』でわたしの娘を演じていたの。今は、(立場が逆転して)彼女が母親のように、わたしを監督しているわ(笑)。彼女は若いのに、すでにいろんな知識を持っていて、どうすれば優れた監督になれるか理解している。それにミザンセーヌ(カメラに映る全てのもの)を、的確に捉えているわ」と称賛した。(取材・文:細木信宏/Nobuhiro Hosoki)