フランス・サンエルブランで開かれた国民戦線(FN)の選挙集会で、演壇に立ったマリーヌ・ルペン党首(2017年2月26日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】今春大統領選を控えているフランスで、極右政党の国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)党首(48)が5月、本当に大統領になる可能性が出てきたと、政界の重鎮や評論家らが口にし始めている。世論調査で追い上げを見せている上、最大の対立候補の一人が公金流用疑惑の渦中に置かれているためだ。

 パリ(Paris)西郊のナンテール(Nanterre)にあるFN本部は、英国を欧州連合(EU)離脱に、米国でドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の誕生を導いたのと同じ勢いに乗って、ルペン氏が政権を掌握する可能性があると信じている。

 ルペン氏の政敵の中からでさえ、同氏の勝利があり得ると認める声が上がっている。保守派のジャンピエール・ラファラン(Jean-Pierre Raffarin)元首相も今月、「ルペン氏が選ばれる可能性はあると思う」と述べた。

 社会党(PS)のマニュエル・バルス(Manuel Valls)前首相もまた、ルペン氏は勝てないと思い込むことの「危険性」に警鐘を鳴らした。

 反移民・反EUを掲げるルペン氏はこの4年間、世論調査で一貫した支持を得ている。2013年以降ずっと、同氏が2回投票制の第1回投票を突破し、決選投票に進むと予想されてきた。

 現時点での世論調査によると、5月7日に大決戦となる一騎打ちを迎えれば、ルペン氏が勝利する見込みはないとされているものの、同氏は主な対立候補らとの差を縮めてきている。

■対抗馬が抱える問題

 特に、右派・共和党候補のフランソワ・フィヨン(Francois Fillon)元首相(62)が抱える法律問題は、ルペン氏に有利に働いてきている。

 フィヨン氏をめぐっては先月、妻に議員秘書としての給与を支払いながら、勤務実態がなかった疑惑が浮上。最新の世論調査では、仮に決選投票が今月末行われた場合、ルペン氏とフィヨン氏の得票率はそれぞれ44%と56%になるという予測が出ている。

 検察当局が24日に、フィヨン氏の主張に対し予審判事が本格的な取り調べに着手すると発表すると、同氏に対する圧力はさらに強まった。

 ルペン氏と決選投票で争うのが、企業寄りの中道派、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)前経済相(39)になった場合も、似たような構図になると予想されている。

 わずか数か月の間に、泡沫(ほうまつ)扱いから有力候補へと躍進を遂げてきたマクロン氏。ルペン氏との対戦予測が行われるようになったのも先月からだが、ここ1か月のマクロン氏のリードは、30ポイント差から20ポイント差へと縮まってきた。

 仏世論研究所(Ifop)の最新の調べでは、マクロン氏の予想得票率61.5%に対し、ルペン氏は38.5%だった。

 ルペン氏も金銭絡みのスキャンダルにさらされており、欧州議会(European Parliament)の公金の不正流用に関わった嫌疑がかけられている。それでも一時最有力視されたフィヨン氏とは違い、支持率低下には直結していない。

 しかし識者らは、既に多くの想定外の事態に見舞われている今回の選挙で、決選投票の結果を予測するのはリスクを伴うと警戒している。仏紙ロピニオン(L'Opinion)が今月半ばに世論調査の専門家らの予想を掲載したが、ルペン氏勝利の可能性については見解が分かれた。

■第1回投票の結果に注目

 Ifopのジェローム・フルケ(Jerome Fourquet)氏はAFPに対し、決選投票前日の世論調査でルペン氏と対立候補の得票率予想が40%対60%だったなら、「差が大き過ぎてサプライズは起こらない」が、「55%対45%なら話が変わってくる可能性がある」と予想した。

 フルケ氏は、ルペン氏が決選投票で勝利する勢いを得られるかどうかを見極めるには、第1回投票での結果が鍵になるとみている。

 2002年の大統領選では、父親のジャンマリ・ルペン(Jean-Marie Le Pen)氏が決選投票に駒を進め、既存の政治体制に激震が走った。とはいえ決選投票では、極右ルペン氏の当選を阻止しようと、さまざまな政治思想を持つ有権者らが、渋々ながらも保守派候補のジャック・シラク(Jacques Chirac)氏に投票した。

 より最近の例は、2015年12月に行われた地方選でも見られた。ルペン氏本人に加え、めいのマリオン・マレシャルルペン(Marion Marechal-Le Pen)氏(27)も第1回投票で高い得票率を獲得。しかし第2回投票では主要政党が結束して阻止に回ったため、両氏共に完敗に終わった。

 Ifopのフルケ氏は、それ以来「ルペン氏はさらなる障害を乗り越えてはきているものの、今後越えるなければならない壁は非常に高い」と話している。
【翻訳編集】AFPBB News