特殊メイクやミニチュア製作の工房のWeta Workshopは、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」や「ホビット」シリーズ、「アバター」など多数の有名映画の小道具製作を手がけています。映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」にも参加しているWeta Workshopの工房に、情報サイトのTestedが訪れ、同作に登場する和装の女性型義体の製作舞台裏を明らかにしています。

Adam Savage Behind the Scenes of Ghost in the Shell! - YouTube

ニュージーランドにある工房にやって来たのは、テレビシリーズ「怪しい伝説」で知られるアダム・サヴェッジ氏です。



サヴェッジ氏を迎えたのはWeta Workshopの創設者であるリチャード・テイラー氏。



今回のテーマはWeta Workshopが小道具製作を手がけている映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」の芸者型義体。



ルパート・サンダース監督は芸者型義体をCGではなく実際のモデルを作って表現したかったとのこと。予告編では芸者型義体の顔がパカッと開いて口からコネクタを出して対象者をハックするシーンがあり、このシーンの芸者型義体は実際に製作されたマスクやロボットが使われています。



撮影ではダンサーが実際に芸者のマスクをかぶって演技しています。最初は化粧をした実際の役者を使おうとしたのですが、人間ならではの不完全な顔や骨格が、芸者が持つ高貴さを表現するには適してなかったとのこと。その結果、実際に役者がかぶるマスクを作ることになりました。



今回は同作品にも出演している福島リラさんの顔をスキャンし、そのデータを元にマスクを作成。マスクをかぶるのは日本人とは骨格が異なるヨーロッパの人だったため、マスクの中は役者の顔の形に合わせて作成。マスクが落ちないようにするために、額や頬など顔の硬い部分に引っかかるように工夫しているそうです。



マスクの後頭部に付いているストラップを緩めると……



マスクが前面と背面に分かれて、かぶれるようになります。



ストラップを引っ張ると脱げるようにしてあるのは、役者が着脱をしやすくするため。テイラー氏によれば、マスクをかぶるという行為はものすごくストレスに負荷がかかることなので、なるべく素早く着脱できるようにしているとのこと。



芸者型義体の目はサングラスと似ている仕組みになっていて、役者の視野を確保しています。



テイラー氏が持っているのは芸者型義体の口から出てくるハッキング用のコネクタ。



芸者型義体の顔がパカリと開くシーンでは、アニマトロニクスという技術が使われています。表面は先ほどの芸者型義体のマスクと同じように見えますが……



テイラー氏がスイッチを押すと、顔が開いて内部の仕組みが丸見えになります。



顔の内部をよく見ると、たくさんの歯車がまわっているのがわかります。内部のデザインは17世紀の機械的なからくりを取り入れていて、顔が開くギミックはデジタルで制御し、古い技術と現代の技術が融合しているというわけです。サヴェッジ氏は「アーティスト・エンジニア・職人らをまとめるのは想像できないくらい大変なことだ」と称賛。



また、開いた顔のピースが同時に閉じて、かつ、隙間なく元の位置に戻るように設計するのは、素人が想像する以上の大変さで、テイラー氏も「ものすごくトリッキーだった」と話しています。



テイラー氏が率いるWeta Workshopは3Dプリンターをいち早く取り入れるなど、日々発展する最新の技術を取り入れることに余念がありません。テイラー氏は「観客の誰もが1日前に見た最新技術を、次の日に見ようとは思いません。私たちが『ゴースト・イン・ザ・シェル』を作り始めたのは2年前のことです。2年前には不可能だと思っていたことが、今なら可能ということがたくさんあります。だから最新の技術を常に採用するということがとても重要です」と語りました。